性行為後に出血してしまった場合、身体になにか異変があるのではないかと焦る方も少なくありません。出血が止まったとしても、原因がわからず不安になる方もいるでしょう。事実、腟の出血を放置しておくと危険なケースもあります。本記事は、性行為後の出血が鮮紅色になる原因について紹介します。また、妊娠の可能性や病院に行く目安なども記載しているので、ぜひ今後の参考にしてください。

監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。
性行為後に鮮紅色の出血があるのは異常?
女性のデリケートゾーンは繊細なので、性行為後に出血があることは珍しくありません。性行為後の出血は、腟や外陰部が傷ついたことが原因の可能性が高いです。パートナーの爪が長かったり、激しいピストンで腟が傷ついたりすることがあります。また、女性側が十分に濡れていない段階で挿入した場合も、腟が傷つきやすくなります。濡れにくい体質の方は潤滑ゼリーを使用する、パートナーに爪の手入れや女性の身体の扱いを考慮してもらうことで腟や外陰部が傷つくリスクを軽減できるでしょう。ほかにも性行為後の出血は感染症や子宮頸がんが原因の場合もあります。また、出血の色は鮮紅色・茶色と人それぞれです。血の色や量だけで症状を判断することは難しいです。出血量が多い場合や不正出血が2日以上続く場合は病院に行くようにしましょう。
性行為後に鮮紅色の出血がある原因
続いて、性行為後に鮮紅色の出血がある原因を紹介します。性行為後に出血が出た場合、以下の症状が原因の可能性があります。出血は身体のSOSかもしれないので、放置をしないことが大切です。
腟壁や腟口の外傷
性行為後、鮮紅色の出血があるときは腟壁や腟口の外傷が原因かもしれません。パートナーの爪が長かったり、激しいピストン運動により傷つくことがあります。また、腟が十分濡れていないのに挿入したり、使用したことのないラブグッズを使用したりすると出血することもあります。性行為後毎回出血する場合は、腟の外傷ではなくほかの病気や性感染症が原因かもしれません。腟の一時的な外傷であれば自然治癒するため病院へ行く必要がありませんが、ほかの病気や性感染症かもしれない場合は早めに受診しましょう。
子宮頸部びらん
子宮頸部びらんとは、子宮の入り口(子宮頚部)の内側を覆っている粘膜が外に向かって広がってできる状態です。子宮頸部びらんは病気ではないですが、症状がある箇所が広範囲だと炎症や不正出血を起こしやすい状態になります。日常生活に支障がなければ治療を受ける必要はありませんが、不正出血が多い場合は治療をしたほうがよいです。子宮頸部びらんの主な治療は以下のとおりです。
・腟洗浄・薬(一時的に症状は改善されるが完治はしない)
・レーザーでびらん部分を除去
・電気メスで焼く
・冷凍療法で壊死させる
また、子宮頸部びらんができる場所は子宮頸がんができやすい場所でもあるので、子宮頸がんの検査として細胞診をすることになります。
子宮頸管ポリープ
子宮頸管ポリープは子宮の入り口に良性のポリープができる病気です。妊娠した30~50代が発症しやすく、明確な原因は明らかになっていません。良性のポリープができることにより、性行為・激しい運動・排便時のいきみで不正出血しやすい状態になります。また、痛みがないため定期診断を受けていないと見つかりにくい病気です。ポリープの表面がきれいでほかに異変がない場合は経過観察となりますが、自然治癒の可能性はかなり低いです。頻繁に不正出血が起きるのであれば摘出を勧められます。ポリープが小さい場合は外来で治療できるので、入院の必要はほとんどありません。
子宮頸がん
子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんです。子宮頸部上皮内腫瘍や上皮内腺がんを経て、がんになります。20代後半から発症が増え、30代後半から40代にかけてさらに発症率が高くなります。子宮頸部上皮内腫瘍や上皮内腺がんの段階では、サインとなる症状がないので、検査をしないと発症がわかりません。しかし、子宮頸がんになり進行すると不正出血・おりものの変化・性行為後の出血の症状が出ます。子宮頸がんは早期発見が大切なので、20歳を超えた女性は不正出血などのサインがなくても定期検診を受けましょう。
性感染症
以下の性感染症は性行為後の出血や不正出血が出ることがあります。
・クラミジア感染症
・淋病
・トリコモナス腟炎
・細菌性腟症
上記の性感染症にかかると、おりものの増加やデリケートゾーンの異変(かゆみ・匂いが強くなる)などの症状も併発します。性感染症を放置すると重篤な病気や不妊になる可能性もあるため、少しの違和感を覚えたらすぐに受診してください。また、パートナーと一緒に受診することで再発を防ぐことができます。

