抗がん剤投与で毛が抜け始めた際の対処法とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「抗がん剤で髪の毛が抜けない人」の特徴はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
鎌田 百合(医師)
千葉大学医学部卒業。血液内科を専門とし、貧血から血液悪性腫瘍まで幅広く診療。大学病院をはじめとした県内数多くの病院で多数の研修を積んだ経験を活かし、現在は医療法人鎗田病院に勤務。プライマリケアに注力し、内科・血液内科医として地域に根ざした医療を行っている。血液内科専門医、内科認定医。
「抗がん剤」とは?
抗がん剤とは、がん細胞の増殖を抑える効果が期待できる薬のことを言います。抗がん剤は、細胞障害性抗がん剤(狭義での抗がん剤)、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の3つに分けられます。中でも細胞障害性抗がん剤は、細胞が増殖する仕組みの一部を阻害することで、がん細胞を攻撃する薬です。そのため、がん以外の正常な細胞にも影響が出てしまうことが多いです。副作用として、吐き気や食欲低下、口内炎、下痢、脱毛、しびれなどがみられることがあります。
がんに対して抗がん剤を使用して治療を行う場合、これらの薬剤を組み合わせて治療する場合が多いです。治療に伴い、どのような副作用がみられるかはこの抗がん剤の組み合わせにより異なります。今回は細胞障害性抗がん剤で多くみられる脱毛を解説します。
抗がん剤投与で毛が抜け始めた際の対処法
脱毛が始まる前の準備
脱毛が起こり、髪の毛や眉毛が抜けてしまうことは事前に分かっていても精神的な負担がかかります。なるべく、負担を軽くするためにも事前に準備をすることをお勧めします。
・髪の毛は短く切っておくことをおすすめします。脱毛した時に抜け毛の量が少なく感じ、精神的なダメージを減らせますし、毛髪のケアそのものも簡便になります。
・育毛剤は血行を良くすることで頭皮に抗がん剤の副作用が出やすくなる可能性があるため控えましょう。
・ウイッグや帽子、バンダナなど気に入ったものを準備することもおすすめです。
・ご自身の眉毛の写真を撮っておくと良いでしょう。毛髪だけではなく、眉毛も抜けてしまうこともあります。眉毛が抜けてしまうと上手く眉毛を書くことが難しくなることもあるため、脱毛前の眉の形を記録しておくとメイクしやすくなります。
脱毛開始後の頭皮のケア
脱毛が始まってからは、日常生活で以下のようなことに気をつけましょう。
・抜け始めたときに、無理に抜くと毛根が傷ついてしまうこともあります。毛根が傷つくと発毛が遅れてしまうこともあるため、気をつけましょう。
・頭皮は清潔に保ちましょう。洗髪をしないと毛穴が詰まってしまったり、炎症を起こすこともあります。シャンプーなどは、かゆみやかぶれが無ければ通常使用していたものを使用して問題ありません。
・洗髪後は、ごしごしとタオルでこすらず、なるべく吸水性の良いタオルで押し当てて水分を吸収させるようにしましょう。
・髪の毛がもつれない様にブラッシングすることは大切です。頭皮を刺激しないようにやさしくゆっくりとかしましょう。

