子どもが”歩きづらそう”にしていたら「ケーラー病」のサイン?原因も医師が解説!

子どもが”歩きづらそう”にしていたら「ケーラー病」のサイン?原因も医師が解説!

どこかにぶつけたり転んだりしてケガをした訳でもないのに、子供が足の土踏まずを痛がっていて心配ということはないでしょうか。

その症状はもしかしたら「ケーラー病」という骨の病気の症状かもしれません。

ケーラー病とは、骨端症という小児に起こる骨の病気のひとつに分類されており、子供の骨の成長に伴って発症する病気です。

これを単なる「成長痛」だと放っておくと、痛みが強くなったり歩行が困難になったりする可能性があります。

ここでは、ケーラー病の特徴について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

※この記事はメディカルドックにて『「ケーラー病」になると現れる症状はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

ケーラー病の特徴

足の骨

ケーラー病とはどのような病気か教えてください。

ケーラー病とは、「骨端症」と呼ばれる小児に起こる骨の病気のひとつです。小さなお子様の骨には元々決まった場所に骨端線と呼ばれる線のような軟骨組織があり、骨の成長に伴ってそれが増殖しながら大人の骨と置き換わっていくことで大きくなります。

多くは中学生くらいになるとその成長が止まり骨端線も消え大人の骨となっていくのですが、成長の過程で骨端線がある部分に体重などの負荷が繰り返しかかってしまうことで骨への血流が途絶え壊死し骨端症を発症することにより痛みを引き起こします。骨端症が、足の土踏まずを形成する「舟状骨(しゅうじょうこつ)」という部分に起こるものがケーラー病です。

土踏まずは歩く時に地面からの衝撃を吸収するクッションの役割をする重要な部分なので、ケーラー病になると歩くことが困難になります。小さいお子様がケガではないのに土踏まずに持続する痛みを訴えている場合にはケーラー病が疑われるので、いわゆる成長痛だろうと放置せずに早めに対処する必要があります。

ちなみに、足の指の付け根にある「中足骨頭(ちゅうそくこつとう)」に痛みを生じるものは「第2ケーラー病(フライバーグ病)」と呼ばれる病気で、こちらは思春期の女性に多く見られる病気です。

幼児・小児期に多いのですね・・・。

骨端症というのは小児に特有の骨の病気で骨が成長する過程で発症するものです。ケーラー病も骨端症のひとつと定義されているので、骨が成長する幼児〜小児に多く見られます。

ケーラー病はあまり聞かないまれな疾患ですが、統計学的には3から5歳の男児に発症することが多い病気です。ケーラー病のほとんどが片足のみに発症する片側性であるといわれていますが、両足に起こることもまれにあるといわれています。

ケーラー病の症状が知りたいです。

足の舟状骨の壊死や変形により起こる腫れや痛みが主な症状です。親指側のアーチの圧痛が最も目立ち、それが診断に役立ちます。足に体重がかかることで痛みや不快感が増すため、痛みをかばいながら足を引きずるような歩き方になるなど歩くことが困難になることが多いです。

関節の動きに制限が出ることはありませんが、足を内側に返すことで痛みが生じます。小さなお子様の中には痛みの強さや場所など痛みについて正確に訴えることが難しい子もいると思うので、その場合は歩き方などを注意して見ておくと良いでしょう。

いつもと違う歩き方をしている・歩きたがらないなどの症状がある場合は注意が必要です。

発症する原因を教えてください。

ケーラー病が発症する原因は、足の舟状骨への血流不足によるものといわれています。

土踏まずの舟状骨の部分に繰り返し刺激や体重による負荷がかかることによって血流が途絶え骨が壊死し変形することによって発症します。この病気は慢性的な経過を示すものであり、症状は持続し徐々に進行していくものです。

まれに2年ほど症状が持続することがあります。早めに対処すれば痛みも緩和でき、時間経過とともに症状が自然に軽快することがほとんどです。後遺症が残ることもないといわれています。

性別でかかりやすさに違いがありますか?

理由は明らかではありませんが男児に多い病気です。発症率は女児に比べて3から6倍高いといわれています。

また、ほとんどが片足のみに発症する片側性であり、3分の1程度の子が両側性に発症するといわれています。

編集部まとめ

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今回は、小児の骨の病気のひとつであるケーラー病について解説しました。

「成長痛」という言葉は良く聞きますが、ケーラー病は、子供の骨の成長過程で起こる、足の土踏まずを形成する舟状骨に起こる痛みのことです。

発達途上にある骨に繰り返し体重などによる負荷がかかることによって発症するとされています。

土踏まずは、歩く時に地面からの衝撃を和らげるために重要な部分です。そこに痛みがあるために歩行が困難になってしまい、子供の生活に支障が出てしまいます。

多くは数年で後遺症もなく治癒する病気ですが、症状に応じて中敷きやギプスを使用することで痛みを軽減することが可能です。

症状を長引かせないためには、できるだけ早めに整形外科を受診して治療をすることが必要です。

子供が特にケガをしたわけでもないのに足を痛がっている場合は、「成長痛だから」で済ませずに、一度整形外科、あるいは小児整形外科のクリニックなど受診することを検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献

小児の運動器の基本的診察方法とポイント|Jpn J Rehabil Med 2018;55:14-18

ケーラー病|MSDマニュアル 家庭版

配信元: Medical DOC

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