「歯周病」でも『インプラント』はできる? 治療を成功に導く3つのポイントと考え方

「歯周病」でも『インプラント』はできる? 治療を成功に導く3つのポイントと考え方

重度歯周病とインプラント:骨が足りない場合、治療をどう考えるべき?

重度歯周病とインプラント:骨が足りない場合、治療をどう考えるべき?

編集部

重度の歯周病で歯を失った場合、インプラントに必要な骨量が足りないケースも多いと思います。その場合でも、治療は可能なのでしょうか?

久保田先生

歯周病で骨を多く失った場合でも、「骨造成」という骨を増やす手術をおこなえば、インプラント治療は可能です。一方で、骨造成には半年から1年と長い期間がかかるため、その間はしっかり食事ができない可能性があります。そのため、骨造成をしてまでインプラントを入れる必要があるかどうかは、慎重に判断することが大切です。

編集部

骨造成をすればインプラントが入れられても、それが最善の選択とは限らないケースもあるのでしょうか?

久保田先生

例えば、高齢の患者さんにとって長い期間、食事がしっかり摂れないことは健康面において大きなデメリットです。したがって、インプラントで長い治療期間をかけるよりも、別の方法で早く噛めるようにする方が、生活の質を上げるという点において最良なケースもあります。いずれにしても、どの治療が最善かは患者さんの価値観次第ですから、メリット・デメリットを理解したうえで選択していくことが重要です。

編集部

技術的に可能か否かだけでなく、「年齢」や「生活の質」をふまえて治療を選ぶことも重要なのですね。

久保田先生

はい。「骨が足りなかったら骨造成」と安易に考えるのではなく、その人の年齢や生活状況、健康状態などを考慮して、インプラント以外の選択肢も検討することが大切です。患者さんによって歯周病が重症化した背景もさまざまですから、その人にとって最善のゴールはどこなのかを見極めることも、我々歯科医の役割だと考えます。

編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

久保田先生

歯周病のある人のインプラント治療では「インプラントができるか・できないか」という技術面の問題に目が行きがちです。しかし、インプラントを入れることは治療全体のゴールではなく、あくまで手段の1つに過ぎません。大切なのは、目先の問題にとらわれず「最終的にどうなりたいか・どうしたいか」という理想のゴールを設定することです。その実現のために、インプラントが最適な手段だと感じたら、信頼できる歯科医に相談し、納得のいく選択をしていただけたらと思います。

編集部まとめ

歯周病の人がインプラント治療を受けるにあたっては、「歯周病治療の徹底」「インプラント周囲炎への備え」「自身の価値観にあった治療の選択」の3点が重要な指針となります。まずは、最終的にどのようなゴールを目指すかを定め、そのゴールに向けて最良の選択を一緒に考えてくれる歯科医を見つけていきましょう。

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配信元: Medical DOC

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