【獣医師執筆】犬の「冬の寒さ対策」暖房器具の上手な使い方や寒い時期に起こりやすいトラブルを解説

【獣医師執筆】犬の「冬の寒さ対策」暖房器具の上手な使い方や寒い時期に起こりやすいトラブルを解説

寒さを感じやすいタイミング

寒さを感じやすいタイミング

わんちゃんは寒さに強い動物とされていますが、まったく寒さを感じないわけではありません。

人間同様に寒さを感じたり、体温を上げようと体を震わせたり、体力を温存させるように普段よりも活動量が減ったりする変化が見られることもあります。

わんちゃんが寒さを感じやすく、配慮をしてあげるべきタイミングはどんなタイミングなのでしょうか。

散歩時

日が出ているタイミングは冬場も暖かいこともありますが、日当たりの悪い場所や日が出ていないタイミングは気温が下がり、わんちゃんも寒さを感じがちです。

震えが止まらなかったり、早く帰ろうとするなどの変化が見られる場合もあるでしょう。

寒さの中、無理をして長時間散歩をすることで、体調不良になってしまうなどのトラブルにつながることもあります。

日が出ていて暖かい時間帯を選ぶことや、日当たりのいいお散歩コースに変更すること、洋服を着るなどの寒さ対策をしたうえでお散歩すると安心です。

小型犬や持病のある犬は、寒い時期は無理をせずに暖かい室内で知育玩具などを使用して遊ぶようにすることをおすすめします。

お留守番時

留守番をしているわんちゃんも多いと思いますが、寒さ対策はできていますか?

いたずら対策などのために、お留守番時はケージ内に入るというわんちゃんも多いでしょう。

飼い主さんがいない時間帯も、わんちゃんのいるケージの温度は一定に温かく保たれているか、把握していますか?

お部屋の日当たりによって室温も変化し、同じ室内であっても日当たりが悪い場所や時間帯によっては寒くなってしまうこともあります。

飼い主さんがいない間も快適に過ごせるかどうか、お休みの日などに室温計などでわんちゃんのいる場所の温度がどの程度かを確認したり、温度計や湿度系のついたお留守番カメラの使用などをすると、わんちゃんも快適に過ごせる可能性が高いです

朝晩など日照が安定しないタイミング

冬場は朝晩など日の出ていない時間帯と、昼間の時間帯の寒暖差が大きくなってしまうことも寒さや体への負担を感じやすいです。

飼い主さんと一緒に温かいお布団で寝ているわんちゃんや室内を自由にしているわんちゃんたちは、暖かい場所を自分で探すことができるので、寒さを感じにくい場合もありますがクレートやサークルで過ごしているわんちゃんたちは、もしかすると暖かさや涼しさを選択できず、寒さを感じている場合もあります。

わんちゃんの居場所の温度を把握することと、自分で暖かさや涼しさを調節できるよう、毛布やペット用ヒーターなどで暖かいスペースとそのままの床材で涼しい場所とを用意しておくことなどがわんちゃんにとって快適に感じることにつながります。

また、広い空間の中で自由に行き来できることだけがわんちゃんにとっての快適さにつながるわけではなく、その分いたずらをしてしまったり、飼い主さんと一緒に眠る中で押しつぶされてしまうなどのトラブルにつながる危険性もあります。

わんちゃんの性質を考慮したうえで、安全を確保したうえで、快適に暖かく過ごせるよう工夫してあげましょう。

寒い時期に起こりやすいトラブル

寒い時期に起こりやすいトラブル

寒い時期は、寒さを感じて体温を上げようとすることは体に負担をかけますが、他にも起こりやすいトラブルがあります。

どんなことが起こりやすいのでしょうか。

体調不良

寒さの中、体温を上げようとすることや寒暖差がある中で体を適応させようとすることは、体力を消耗し、体に負担がかかる傾向があります。

その結果、体調不良につながることがあります。

下痢や嘔吐、食欲不振のような消化器症状や元気消失、気管支炎や鼻炎などの変化が見られる場合もあるでしょう。

おなかにやさしい消化に良いごはんや、体力の消耗を防ぐため体をしっかり温められる環境づくりをしてあげましょう。

また、少しでも体力の消耗を防げるよう、症状が見られる場合は速やかに受診をして、お薬などの力を借りながら、体力が回復できるようにしてあげてください。

低体温症

体温が下がり過ぎてしまうことにより、生命維持活動ができなくなってしまう場合もあります。

体力が消耗しやすい、幼弱な子犬ちゃんやハイシニアのわんちゃんは、体温が下がって、自身の力で熱産生をすることができず、低体温のまま死に至る危険性がある場合もあるでしょう。

特に長時間の留守番や、体調が悪い際はしっかりと保温できる環境を作ってあげましょう。

エアコンによって室温を上げることができても、わんちゃんの体自体が体温低下をしてしまっているようであれば、室温を上げるだけでは体温を上げることができず、致命的な問題につながる可能性もあります。

体を触って体温が低そうだと感じた場合、湯たんぽやペット用のヒーターを使用してあげることで、効率よく体温を上昇させられるようにしましょう。

寒冷凝集素症

寒冷凝集素症という病気はあまり聞きなれない病気かもしれません。

ミニチュアピンシャーやイタリアングレイハウンド、ミニチュアダックスフンドなどの犬種に多いとされていて、耳の先やしっぽの先が、寒さから起こる体温低下によって免疫システムの異常が起こり、赤血球が破壊されたり赤血球同士がくっつきあうなどの変化が起こることで、かさぶた状になったり壊死をするなどの場合があります。

皮膚表面の変化だけでは致命的な問題になりにくいですが、重度になると貧血などを起こして大きな問題になる場合もあるため注意が必要です。

悪化する場合、検査のうえ、内服治療やスキンケア、寒さ対策の徹底などが必要となります。

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