発達障害の診断基準に完全には当てはまらない「グレーゾーン」と呼ばれる子どもたち。この状態はどのような特性を持つ子どもを指し、周囲はどのように接すれば良いのでしょうか? 本記事では、自閉スペクトラム症との関連や、思春期~成人期にかけて問題が起きる可能性、そして特性を理解する大切さについて、医師の岡琢哉先生に詳しく解説してもらいました。

監修医師:
岡 琢哉(株式会社カケミチプロジェクト)
岐阜大学医学部卒業後、羽鳥市民病院にて初期研修を修了。岐阜大学医学部附属病院精神神経科、東京都立小児総合医療センター児童思春期・精神科、医療法人社団神尾陽子記念会発達障害クリニック(現:神尾陽子クリニック)、岐阜大学医学系研究科博士課程を経て現職。株式会社カケミチプロジェクト代表取締役。NPO法人カケルとミチル理事、医療法人社団あやなり理事。
編集部
グレーゾーンというのは具体的にはどのような状態像の子どもを表すのでしょうか?
岡先生
「社会的コミュニケーションの問題」と「常同性(こだわり、反復行動)と感覚過敏の問題」の2つから考えると、「大人との関わりは問題がなくても、同年代の子ども同士の集団に適応することができない子ども」や「周囲の音に対する過敏性、強いこだわりを持っていても我慢しながら学校生活をおくっている子ども」が当てはまると考えられます。
編集部
グレーゾーンの子どもたちにはどのような特性がありますか?
岡先生
グレーゾーンと言われる子ども達は、自閉スペクトラム症の特性を持ちながらもある程度我慢したり、ほかの能力で補ったりしながら社会生活を送ることができます。こういった我慢や努力が積み重なり、かえって苦痛が強くなってしまい、様々な問題が思春期~成人期にかけて起きてしまうことがあります。
編集部
グレーゾーンにいる子ども達と関わる上で、周囲の人が考えるべきことはどのようなことですか?
岡先生
「診断がつくかつかないか」「障害が目立つか目立たないか」ではなく、「子どもの持つ特性がどのように苦しさを生んでいるのか」ということに注目していくことが重要だと考えています。
※この記事はメディカルドックにて【「自閉スペクトラム症」の子どもの特性はご存知でしょうか? 関わり方を児童精神科医が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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