「辞めても配信できない」契約に公取がライバー事務所に注意、芸能界やYouTuberまで波及か

「辞めても配信できない」契約に公取がライバー事務所に注意、芸能界やYouTuberまで波及か

●弁護士に寄せられる「ライバーの苦しみ」

──ライバー側には、どのような悩みがあるのでしょうか。

私が所属する法律事務所には、毎日のようにライバー側から切実な相談が寄せられています。

とくに多いのが、今回問題となったような「契約終了後も一定期間にわたって活動を制限する規定」や、契約終了後に高額な違約金を課す規定に関する相談です。そのほか、アカウント移行手続きに協力しないなど、移籍を妨害する行為についての相談も少なくありません。

裁判所でも、仮処分事件において、こうした規定に基づく芸能事務所側の対応について「債権者(ライバー)の芸能活動を妨害してはならない」と判断する例も相次いでいます。私自身も、こうした実態を踏まえて、公取委に積極的に情報提供をしてきました。

公取委が注意に踏み切った背景には、「辞めたくても辞められない」「引退後も活動を制限される」といったライバーの切実な声や、裁判所の判断の積み重ねがあったのではないでしょうか。

●移籍制限が緩和された先にある「実力主義の市場」

──今回の注意は、ライバーや事務所にどのような影響を与えるでしょうか。

本来、ライバーを含む実演家は、自身の芸能活動を円滑にするために、マネジメント業務を事務所に委託しています。そして、実演家が自由に活動できて初めて、より創造的で魅力的なコンテンツが生まれ、業界全体の発展につながります。

不当な移籍制限は、こうした健全な成長を阻害する要因となっていたと考えています。

今回の注意をきっかけに、ライバーの移籍が活発化し、それに伴って、ライバー事務所のマネジメント業務の質が問われるようになるでしょう。質を高められない事務所は淘汰され、ライバーの人材獲得市場は「流動性の高い、実力主義の市場」へと変貌していくでしょう。

これまでのように契約でライバーを縛り付けるやり方は、もはや通用しません。ライバーは、自分を正当に評価し、あるいは十分なサポート体制を提供してくれる事務所を自由に選べるようになります。

その結果、事務所側には、契約による拘束ではなく、「選ばれ続けるための価値」、つまりマネジメント力や還元率の向上が強く求められるようになるでしょう。

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