袋耳(埋没耳)の原因と仕組みをご存じですか? 耳が埋もれて見える理由を医師に聞く

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袋耳の治療

袋耳の治療は、患者の年齢や重症度によって使い分けられます。具体的な治療法としては、ワイヤーによる矯正と手術があります。
H3:ワイヤー矯正治療
ワイヤー矯正治療は、ワイヤーを耳に装着して正常な耳の形に矯正する治療方法です。1歳以上になると耳介軟骨が硬くなっており矯正が難しいため、一般的に1歳以下の患者が適応対象となっています。(出典:独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院「耳の「形」に関する診療~埋没耳と小耳症に対する当院の治療について~」)

ワイヤーの装着は、患者の耳の状態に合わせて医師が調整します。治療期間は数ヶ月程度で、定期的な診察を受けながら進めていきます。ワイヤー治療中は、皮膚のかぶれや傷つきを防ぐために耳の保護やケアも行います。

もし、乳児がワイヤーに対して不快感を示し、ワイヤーを外すような行動が見られた場合は効果が薄くなるため、すぐ医師に相談しましょう。
H3:手術療法
ワイヤー矯正で十分な効果が得られなかった場合や、重度の変形がある場合は手術による治療を検討します。手術の適応となるのは、3歳程度~小学校入学前後の年齢です。(出典:一般社団法人 日本形成外科学会「埋没耳」)

手術は局所麻酔または全身麻酔下で行われ、耳介軟骨の変形を修正し、必要に応じて皮膚の移動や植皮を行います。また、手術後は医師の指示に従って包帯固定を行い、その後も夜間は特殊な固定具を使用して形を保持します。傷跡は耳の後ろにできますが、髪の毛で隠れる場所に位置します。

袋耳になりやすい人・予防の方法

袋耳は先天性の形態異常のため、現時点では確実な予防法は確立されていません。しかし、早い段階で治療を開始することで改善が期待できるため、早期発見・早期治療が重要です。

医学の進歩により、超音波検査で胎児の体を詳しく調べられるようになりましたが、現状では耳の形まで確認することは難しい状況です。そのため、袋耳の診断は生まれてから行うのが一般的で、出産直後や乳児健診の際に発見されることが多くなっています。

また、袋耳の再発を防ぐために、治療後の経過観察も重要です。とくに手術後は医師の指示に従い、適切なケアと定期的な経過観察を行うことで、良好な状態を維持できます。医師から指示された期間は確実に固定具を使用し、定期的な診察を受けて、変化がないかどうかを確認していきましょう。


関連する病気

小耳症

耳垂裂

耳介軟骨形成不全

外耳道狭窄症

耳介奇形

耳介血腫

外傷性耳介変形

伝音性難聴


参考文献

一般社団法人 日本形成外科学会「埋没耳」

独立行政法人 労働者健康安全機構 横浜労災病院「耳の「形」に関する診療~埋没耳と小耳症に対する当院の治療について~」

J-Stage「外耳形成外科の臨床-軽度の耳介奇形について-」

配信元: Medical DOC

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