「寝不足」で”血圧”はどう変化する?続いた時に注意すべき症状も医師が解説!

「寝不足」で”血圧”はどう変化する?続いた時に注意すべき症状も医師が解説!

寝不足の正しい対処法・改善法は?

寝不足は、正しいセルフケアによって改善するケースもあります。無理のない範囲で、できることから始めてみましょう。

規則正しい就寝・起床を心がける

睡眠不足を解消する基本は、「睡眠時間の確保」と「睡眠リズムの一定化」です。
成人の場合、6~8時間の睡眠時間を確保し、できるだけ毎日同じ時間に就寝・起床することを心掛けます。休日に朝寝坊や長い昼寝をする「寝だめ」をしても、睡眠を溜めることはできません。体内時計がずれる原因にもなるため、できる限り毎日同じ時間に就寝・起床するのが望ましいです。
睡眠のリズムが整うと、疲れが取れやすくなり、日中の眠気も改善しやすくなります。
睡眠の質の低下や睡眠時間の減少をまねく夜更かしや不規則な就寝時間はできるだけ避け、規則正しい生活を心がけましょう。

生活習慣の見直し

寝不足の改善には、就寝・起床時間を一定にすることに加え、基本的な生活習慣を見直すことも欠かせません。
具体的には、以下のポイントを心がけるのがおすすめです。

内容 具体例

運動習慣を身につける ・有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳など)、筋力トレーニング(ダンベル運動・スクワットなど)がある
・1日60分程度おこなうのが望ましいが、少しずつでも良いので習慣化するとよい
・日中~就寝の2~4時間前の運動が有効

食生活に注意する ・朝食をしっかり摂る
・就寝前の夜食・間食は控える
・塩分は控えめにする
・バランスのよい食生活を心掛ける

カフェインの過剰摂取を避ける ・カフェインの1日摂取量は400mg(コーヒー700cc程度)を超えないようにする
・夕方以降の摂取は控える

節酒・禁煙する ・寝酒はやめる
・大量や毎日の飲酒は避ける
・喫煙は控える(禁煙)

これらの生活習慣は、寝不足だけでなく高血圧の改善にも効果が期待できます。できることからはじめてみてください。

「寝不足と血圧」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「寝不足と血圧」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

眠れない日が続いた場合、血圧はどのように変化するのでしょうか?

伊藤 陽子(医師)

眠れない日が続くと、寝ている間に血圧が下がらず、日中も高い状態が続きやすくなります。個人差はありますが、朝の血圧が高くなる可能性は高いでしょう。
最近は眠っている間も数時間おきに自動で血圧を測れる血圧計も市販されています。お持ちの血圧計に機能がある場合は、測ってみるのも一つの方法です。
なお、夜間の血圧を正確に把握したい場合は、「24時間自動行動下血圧測定」という検査をおこない、日中から夜間まで30~1時間おきの血圧変化を1日かけて測定することもあります。ただし、この検査を行える医療機関は限られているためこの検査ができるか、検査の適応があるかは事前に問い合わせをすると良いでしょう。

睡眠不足だと血圧が上がりやすいと聞きました。改善するには何科を受診すべきですか?

伊藤 陽子(医師)

血圧が気になる場合、かかりつけの内科があればかかりつけへ、とくになければ近所の内科や循環器内科を受診するのがよいでしょう。医療機関では、血圧や持病の有無、生活状況などからどのような治療が必要かを判断します。
また、睡眠不足が「睡眠時無呼吸症候群」という眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする病気が原因で起きている場合は、呼吸器内科や睡眠専門外来に紹介されることもあります。
受診時は、就寝時刻と起床時刻、昼寝の有無や時間、日中の眠気の有無などの睡眠状況や、家庭で測定した血圧の数値を記録したものを持参すると、診察がスムーズです。

寝不足が悪影響を及ぼす更年期高血圧とはどんな病気ですか?

伊藤 陽子(医師)

更年期高血圧は医学的な用語ではないものの、閉経前後の時期の女性に起こる高血圧のことです。
更年期になると、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌が低下します。エストロゲンは血圧上昇を抑える効果があるため、分泌が低下することにより血圧が上がりやすくなります。
また、この年代に起こりやすい肥満やコレステロール値の異常も、血圧上昇に関わる可能性があるとされています。
さらに、更年期はホルモンバランスが安定せず、自律神経のバランスが崩れやすかったり、不眠やイライラ感、うつ症状が出やすくなったりします。そのため、エストロゲン分泌の低下による高血圧に加えて、不眠やイライラ感などによっても血圧が上がりやすくなるのです。
血圧のコントロールは内科が専門ですが、更年期障害と呼ばれるほてり、イライラ、不眠、不安などがつらい場合は婦人科の受診も検討してみてください。

まとめ 寝不足が続いて血圧が高くなったら内科を受診しよう!

寝不足が続くと、自律神経やホルモンのバランスが崩れ、血圧が上がりやすくなります。血圧が高い状態は、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などの命に係わる病気のリスクを高めるため、十分な睡眠をとり、血圧を適切な数値にコントロールすることを心がけましょう。

血圧に不安がある場合の受診先は、内科や循環器内科です。また、うつ病をはじめとする精神疾患や睡眠時無呼吸症候群が原因となって寝不足になっている場合は、精神科や心療内科、呼吸器内科なども受診先となるでしょう。
寝不足は、血圧だけでなく、糖尿病や心臓、脳の病気などのリスクを高める重大な問題です。できることから少しずつ生活を見直し、質・量ともに十分な睡眠をとるように心がけましょう。

「血圧と寝不足」で考えられる病気

「血圧と寝不足」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系

高血圧糖尿病

呼吸器科の病気

睡眠時無呼吸症候群

精神系の病気

うつ病不眠症

不安障害

寝不足をともなう高血圧を放置すると、脳心疾患のリスクが高まります。早めに生活習慣を見直し、血圧が下がらない、体調が改善しないなどの場合は受診を検討しましょう。

「血圧と寝不足」の関連症状

「血圧と寝不足」から医師が考えられる症状は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

頭が痛い

めまいがする

ふらつく

動悸がする

寝不足で血圧が高いと、頭痛やめまい、動悸などが起こりやすくなります。休息によって改善する場合もありますが、続く場合は早めの受診を検討しましょう。

参考文献

高血圧治療ガイドライン2019

健康づくりのための睡眠ガイド2023

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配信元: Medical DOC

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