心臓リハビリテーションの実践方法と注意点
編集部
心臓リハビリテーションを始めるにあたって、最初にすべきことはなんですか?
中村先生
まずは主治医に相談し、自分の病状や体力に合ったプログラムを立ててもらうことが大切です。CPXの検査をおこなったり、心電図や心エコーなどで心機能を確認したりして、運動強度の目安を決めます。
編集部
自分で運動をするのはありですか?
中村先生
自己流での運動開始はリスクが伴うため、必ず医療スタッフの指導を受けたうえで進めましょう。ただし、医療機関でCPXの検査を受ければジムなどに通い、自力で運動をおこなうことも可能です。
編集部
それはどういうことですか?
中村先生
CPXの検査では、患者さん一人ひとりに合わせた運動強度が示されます。運動強度はMETs(メッツ)という単位で示され、「あなたは何METsまでの運動なら安全におこなえますよ」と具体的に運動強度が指示されます。ジムに設置されているトレッドミルなどのマシンでは、自分でMETsを設定できるものもあるので、そのようなマシンであれば自分の状態に即した強度で安全に運動をおこなうことができるのです。
編集部
運動をする際の注意点はありますか?
中村先生
日々の体調チェックが重要です。体重増加や息切れ、むくみなどの変化に注意し、異常があれば無理をせず中止しましょう。また、心拍数をはかりながら運動をおこなうなど、過剰な運動にならないことも大切です。胸痛、強い息切れ、めまい、冷や汗、脈の乱れなどが出た場合は、すぐに中止しましょう。
編集部
リハビリテーションを続けるモチベーションが保てないときには、どうしたらいいのでしょうか?
中村先生
たしかに、目に見える成果がすぐに出るわけではないため、継続することが難しいと感じるときがあるかもしれません。しかし、運動の記録をつけたり、仲間と励まし合ったり、小さな変化を共有することが効果的です。医療スタッフとの定期的な会話や相談も継続の原動力になるでしょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
中村先生
心臓リハビリテーションは、これまであまりフォーカスされてこなかった分野ですが、今後の循環器治療において重要な役割を担うと考えています。適切な運動療法を取り入れることで再発予防や生活の質の向上につながるため、日本全国に広がっていくことは間違いないでしょう。通常は医療機関においてCPX検査で心肺機能を評価し、その結果を基に個別の運動プロトコールを作成します。しかし、地域によっては心臓リハビリテーションをおこなっている医療機関が見つけられないこともあります。その場合には、まずは遠方でも心臓リハビリテーションをおこなっている医療機関を探してCPX検査を受け、それを地元の運動施設で実践することで、安全かつ継続的なリハビリテーションが可能となります。ぜひ、心機能の向上や心不全などの再発防止に、心臓リハビリテーションを役立ててほしいと思います。
編集部まとめ
心臓リハビリテーションは、病気の再発を防ぎ、日常生活をより快適にするための大切な治療ということがわかりました。専門的な検査で安全性を確認し、一人ひとりに合った運動を続けることで、安心して体力を取り戻すことができます。興味がある場合はまず、自宅の近くに心臓リハビリテーションをおこなっている医療機関があるか、チェックしてみましょう。

