
静かな大晦日の夜、響き渡る除夜の鐘の音。この荘厳な音色を聞くと、一年の終わりをしみじみと感じます。小腹がすいたから年越しそばでも…と思いつつ、年越しそばは12月31日のうちに食べるべきか、年が明けた元旦に食べるべきか、悩んだりしませんか? そこで、大晦日のしきたりについて、「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に聞いてきました。








除夜の鐘が鳴り終わるまで待って年神様をお迎えしよう
「大晦日」は、古い年を“除き去り”、新しい年を迎える日という意味から「除日(じょじつ)」とも呼ばれます。大晦日の夜、つまり「除日の夜」につく鐘だから「除夜の鐘」なのです。
仏教では、人は108の煩悩を持つとされ、それをひとつずつ鐘の音で祓い清める、というのが除夜の鐘の意味です。
そうすることによって、人は清らかな心で新年を迎えることができます。
さらに、除夜の鐘には、大晦日のうちに107回、年が明けてから最後の1回をつくことで、「新しい一年は煩悩に惑わされずに過ごせますように」という願いも込められています。
「除夜の鐘を聞き終える前に寝てしまうのは、年明けとともに家を訪れる年神様に失礼にあたります。大人はできるだけ起きて、年神様をお迎えしましょう」と岩下先生。
梵鐘の音には、「一切の苦しみから逃れ、悟りに至る功徳がある」ともいわれています。
鐘の音に合わせて心を整えながら、ゆっくり年神様を待つのもいいのではないでしょうか。

おせちは31日から食べ始めてもいい?
おせちは、五穀豊穣や無病息災、子孫繁栄といった願いを込めて年神様にお供えするために作られ、家族でいただく料理です。昔は「日が暮れると新しい日が始まる」と考えられていたため、もともとは年越しの祝い膳として大晦日の夕食に食べるのが習わしでした。
「しきたりの上では、大晦日の夜におせちを食べるのが正しいとされ、実際に北海道や東北の一部では、いまもその風習が残っています。ただ、現代では家族の予定もさまざまですから、大晦日の夕方でも元日以降でも、家庭の都合に合わせてかまいません」。

