誰かを待つ時間、その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに、そんな「待つ時間」をテーマにして選曲&言葉を綴っていただきます。
巨大な構造体の心臓部、舗装された血管を流れる、無数の影と光の粒子に平伏すとして
2025の終わりと失速、冷却された熱情の記録を携えて、君は時代の残響音に耳を澄ます
スクランブル交差点に群がる波動は正確無比、ニュースだけが終末をイメージする
雪の結晶のように冷たい完璧なコミュニケーションは、未来へと逸脱せんとする人たちの焦燥の塊だとして、誰もが加速を求め、誰かは終点を見誤っている
君と僕が描いた思い出の色彩の洪水が、目蓋の裏に焼き付く
青は過去の憂鬱、赤は消費の欲望
この暴力的なまでの光の奔流だけが、内側の空洞の存在を、一瞬忘れさせてくれる
絶対的な質量の喪失、無風の領域へと落ちてゆく柔らかなエアポケットは、暦が最後のページをめくる瞬間の停滞
人々の熱狂が蒸発し、関係性の残骸と誓いの破片、そのすべてを昨日に葬り去って、空白の肯定を成し遂げて
君と2026へと、意識の舵を切る

中谷美紀『MIKI』(2001年、ワーナーミュージック・ジャパン)収録

