痙性斜頸は自分の意思に反して首が勝手に動き傾いたり、可動範囲が狭まったりする局所性ジストニア(異常な筋肉の緊張症)の1つです。
突然に発症する病気で、不自然な姿勢や無理に元に戻そうとすると痛みをともなうことなど、精神的にも辛い思いを強いられることの多い病気です。
今回はこの痙性斜頸について症状や原因などの質問にお答えします。
※この記事はメディカルドックにて『「痙性斜頸(けいせいしゃけい)」は「肩の痛みやしびれ」といった症状が現れるの?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
痙性斜頸の症状と原因

痙性斜頸とはどのような病気ですか?
痙性斜頸は首や肩周辺の筋肉が意思に反して収縮することで首が前や横に傾いてしまう病気です。
発症原因が明らかでない場合が多く、脳性麻痺や抗精神薬などにより引き起こされる場合もあります。幅広い年齢層で起こり、特に30代・40代に発症しやすいともいわれています。
少数には遺伝因子が関係している場合もありますが、通常は突発性の場合が多いです。
初期段階には首や肩のコリや軽い痛みがあるだけなので発見が遅れやすい病気でもあるのです。
少しでも異常を感じたら自分で判断せず、早めに受診して治療を行うようにしてください。
どのような症状がありますか?
症状としては次のようなことが挙げられます。
頭の位置が前後左右にずれる
頭部が旋回してしまう
背中から頸部にかけて湾曲する
頸部や肩の痛みやしびれ
頭部の位置がずれてしまう旋回性の斜頸などが主な症状ですが、背中の湾曲・頸部肩の痛み・しびれも出ることもあります。
またその症状のために精神的な苦痛もあり、抑うつ状態になる場合もあるのです。
症状の出方は個人個人で違い、睡眠中は症状が出ない・ストレスが高まった時に症状が出るなどということもあります。
原因について教えてください。
痙性斜頸を発症する原因は大脳のプログラムの内運動姿勢の部分の異常では、といわれていますが現状ではまだはっきりとされていません。過労や大きなストレスが要因となることもあり、また長時間同じ姿勢を続けたこと・交通事故などが要因となることも考えられます。
抗精神薬など薬剤が引き金となる場合もありますが、その場合は通常薬剤を中止することで症状が消失します。
ストレスも発症する要因になりますか?
ストレスは痙性斜頸発症の要因の1つです。たとえば会社でのプレッシャーや対人関係が引き金になることがあります。
またストレスだけでなく、本人の素質や反復が要因となることもあるのです。本人の素質としては真面目過ぎる・几帳面過ぎる・こだわりが強いなどが考えられます。
反復とは同じことを繰り返し行うことで、真面目に過度な楽器の練習や勉強を繰り返し行うなども要因となり得るのです。
ただストレスなどが脳の運動に異常をきたす原因については解明されていません。
編集部まとめ

今回は局所性ジストニアの1つ、痙性斜頸について解説しました。痙性斜頸と診断され、不安な気持ちに襲われる方は多いでしょう。
ただ病気の原因はまだはっきりと解明されていませんが、研究も進み治療方法も症状に併せて効果が期待できることが分かってきました。
早めの受診・治療で治癒の可能性も高くなります。難しいことではありますが、ストレスを避け希望を持って病気と向き合ってください。
参考文献
痙性斜頸の外科治療と遠隔成績
痙性斜頸|MSD マニュアル プロフェッショナル版
痙性斜頸(頸部ジストニア)|ジストニア・ジスキネジア患者の環境改善を目指す会

