梅毒は性感染症として知られていますが、症状は性器に限らず、身体のさまざまな部位に現れることがあります。そのなかでも手の甲に発疹が出ることがあり、ほかの皮膚疾患と見分けがつきにくいため注意が必要です。本記事では、手の甲にできた発疹と梅毒の関係などをわかりやすく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「梅毒」を発症すると「手の甲」にどんな症状が現れるかご存知ですか?【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
居倉 宏樹(医師)
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。
手の甲にできる発疹と梅毒の関係

梅毒で手の甲に発疹ができますか?
梅毒では手の甲に発疹が出ることがあります。感染初期には、性器や口唇など感染部位に無痛性の潰瘍(硬性下疳)が生じますが、感染から数週間から数ヶ月が経過すると、菌が全身に広がり、発疹などの全身症状が現れるようになります。これが第2期梅毒と呼ばれる段階です。この時期の発疹は、体幹や四肢、特に手のひらや足の裏、そして手の甲にも出現することがあり、梅毒に特徴的な皮膚症状のひとつです。
発疹は赤褐色で平らな小さな斑点状(バラ疹)で、かゆみがほとんど生じないため、湿疹やアレルギー性皮膚炎などと間違われることもあります。こうした皮膚症状は自然に消えることもありますが、病気そのものが治癒したわけではなく、体内では菌が活動を続けているため、早期の受診と適切な治療が重要です。
梅毒で手の甲に発疹ができたときの進行度合いを教えてください
梅毒は感染時期により、早期梅毒(第1期:感染から1週~3ヶ月、第2期:1ヶ月~1年)、あるいは晩期梅毒に分類されます。早期梅毒の時期を無治療で経過した場合、その後皮膚・心血管・脳神経病変による症状を来すことがあり、このような状態を晩期梅毒(第3期)と呼びます。
手の甲に発疹が現れた場合は、第2期に該当することがほとんどです。この段階では梅毒菌が血流に乗って全身に広がっており、皮膚・粘膜・リンパ節・臓器などに影響を及ぼす可能性があります。この時期は大変感染力が高く、他人に感染させる危険性もあります。さらに放置すれば、皮膚症状はいったん自然に消えるものの、体内に菌が残って慢性化し、やがて深刻な第3期に移行する可能性があるため、早期診断と治療が重要です。
梅毒以外に手の甲に発疹ができる病気はありますか?
はい、手の甲の発疹は梅毒以外にもさまざまな原因で起こります。例えば、洗剤や金属などの刺激物に触れることで起こる接触皮膚炎、アレルギーが関与するアトピー性皮膚炎、皮膚の代謝異常による乾癬、水仕事やアルコールなどで悪化する手湿疹などが挙げられます。また、ウイルス感染による手足口病、水痘、風疹なども手の甲に発疹が出ることがあります。そのため、発疹の性状やほかの症状、生活背景を含めて総合的に診断する必要があります。
編集部まとめ

手の甲に現れる発疹は、梅毒を含めさまざまな皮膚疾患の可能性があります。特にかゆみがなく赤褐色で斑点状の発疹が、手の甲以外にも手のひらや足の裏に見られる場合は、梅毒の可能性を考える必要があります。自分での判断には限界があるため、少しでも不安を感じたら早めに医療機関を受診することが大切です。梅毒は適切な治療によって完治が可能な病気ですので、自己判断で放置せず、正しい知識と行動で健康を守りましょう。
参考文献
日本感染症学会ホームページ梅毒診療考え方令和6年3月
日本性感染症学会ホームページ梅毒診療ガイド(第2版)
国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト梅毒治療の現状について

