アメーバ性肝膿瘍の治療
アメーバ性肝膿瘍を発症している場合には、症状に応じて薬物療法や外科的治療がおこなわれます。
薬物療法
アメーバ原虫に有効な抗原虫薬が用いられます。
抗原虫薬には「メトロニダゾール」が多く用いられ、一般的に10日前後内服します。重症の場合や内服が困難な場合には、注射にて投与することもあります。
メトロニダゾール内服中は吐き気や嘔吐、発疹などの副作用が出現する可能性があるため、治療中は医師が症状の変化に注意しながら経過観察をおこないます。
薬物療法の治療効果は高いとされ、通常は後遺症などもなく軽快し、治療に伴い病変も消失します。
侵襲的治療
肝臓にできた膿瘍があまりに大きい場合や、薬物療法で改善しない場合などは、膿瘍の膿を排出する「ドレナージ」と呼ばれる処置がおこなわれることがあります。ドレナージでは、皮膚から肝臓に「ドレーン」というチューブを挿入し、膿瘍の内容物を吸引します。
ドレナージには膿瘍が破裂したり入院期間が長くなったりするリスクもあるため、慎重に適応を判断しておこなわれます。
アメーバ性肝膿瘍になりやすい人・予防の方法
アメーバ性肝膿瘍になりやすい人は、旅行や仕事などで海外の流行地域を訪れる人です。特に長期滞在によって感染リスクが高まると考えられています。
国内では感染者との性交渉により感染する例が多く見られるため、流行地域を訪れていなくても感染リスクはあるといえます。
現在のところ、赤痢アメーバ症の予防に有効なワクチンはありません。したがって、アメーバ性肝膿瘍を含む赤痢アメーバ症を予防するにはアメーバ原虫に対する感染対策をおこなうことが重要です。
発展途上国などの流行地域では、汚染された食品類を口にしないような注意が必要です。衛生管理にはじゅうぶんに気を配り、生水を飲まないこと、極力加熱処理してから食品を口にすること、などを徹底しましょう。また、食事前などにしっかりと手を洗うことも重要です。
また、「感染者と性交渉を持てば、高い感染リスクがある」という事実を理解しておくことも、アメーバ性肝膿瘍の予防につながると言えるでしょう。
関連する病気
赤痢アメーバ症(赤痢アメーバ大腸炎)
アメーバ性脳膿瘍
アメーバ性肺膿瘍
アメーバ性心外膜炎
アメーバ性皮下膿瘍
HIV感染症
AIDS
参考文献
一般社団法人日本感染症学会「アメーバ肝膿瘍」
NIID国立感染症研究所「アメーバ赤痢とは」
厚生労働省関西空港検疫所「疾患解説アメーバ赤痢」
国立感染症研究所微生物検出情報(IASR)「東京都立駒込病院で経験した女性のアメーバ性肝膿瘍症例」

