「母親は片付けができない人だ」と話す筆者の知人。特に父親に先立たれた後は、家が遺品で溢れかえってしまったといいます。しかし母親にある声掛けをしたことで、片付けを始めさせることに成功。当時の話を聞いてきました。
捨てられない思い出
私の実家は、田舎の広い一軒家です。昨年父が病気で亡くなり、現在は母が一人で暮らしています。
私が帰省するたび気になっていたのが、実家の物の多さ。もともと母は物を捨てられない人で、「もったいない」が口癖でした。特に父の遺品は手付かずのまま積み重なっており、押し入れはいつも溢れかえっています。
私は母に「お父さんのものは早めに整理した方がいいよ」といつも言っていました。でも「お父さんの思い出が詰まっている服は捨てられない。それに一人で整理するのは重労働なのよ」となかなか踏ん切りがつかない様子でした。
母に提案したこと
母の気持ちは、娘の私でも理解できます。大切な夫を失ったのに、思い出の品まで消えてしまうのは悲しいことです。ただ、物が散乱した家で一人暮らしをさせるのは足元が危ないですし、もしもの時の避難の妨げになるなど、安全面でのリスクもあります。
そんな母を放っておけなかった私は、一つの段ボールを手にして実家へ行きました。そしてこう声を掛けたのです。
「お父さんのものは、この箱に入る分だけきれいに残そう。その代わり、本当に大切なものだけが入っている思い出ボックスにしようね。私も一緒に手伝うから」
私は母に思い出ボックスを作ることを提案。入りきらなかったものは、写真に残してアルバムを作ろうと伝えました。すると母は「いつまでも立ち止まっていたままではダメだね。背中を押してくれてありがとう」と涙ながらに頷いてくれました。

