闇夜で怪しい男が手渡した物とは…人気ボカロ曲『シャンティ』のコミカライズに「新感覚すぎる」の声【漫画】

闇夜で怪しい男が手渡した物とは…人気ボカロ曲『シャンティ』のコミカライズに「新感覚すぎる」の声【漫画】

『シャンティ』が話題
『シャンティ』が話題 / (C)須賀今日助・佐野しなの・wotaku・亞門弐形/KADOKAWA

コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、月刊コミックジーンやカドコミで連載中の『シャンティ』(漫画:須賀今日助さん/原作:佐野しなのさん/監修:wotakuさん/キャラクター原案:亞門弐形さん) より第0夜をピックアップ。こちらの作品は、大人気ボカロ楽曲を元に書かれた小説のコミカライズとして話題だ。

作画を担当した須賀今日助さんが6月26日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、2.5万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、作画を手掛けた須賀今日助さんと、原作を手掛けた佐野しなのさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

■怪しい男が渡したものとは…
『シャンティ』第0夜(2/12)
『シャンティ』第0夜(2/12) / (C)須賀今日助・佐野しなの・wotaku・亞門弐形/KADOKAWA


時は1920年代。大都市ブローケナークに一人の怪しい男・真紅がいた。ある夜、気持ちよく酒に酔っていた一人の男に、真紅は「俺でよかったら話を聞くよ?」と近寄る。

ひと稼ぎし、豪遊してきたその男に真紅は「言葉にできないくらい辛かったんだね」と言い、噛み合わない会話をし続ける。困惑する男は真紅に差し出された一粒の飴のようなものを見て、巷で噂になっている薬の売人であることを知る。

金は今度でいいと言いつつも「君には払えないだろうけどね」と怪しい笑みを浮かべる真紅。男はその場で薬を口に入れる。この状況がおかしいと思い始める男だったが、しまいには真紅を殺せば彼が持っている薬を根こそぎ奪えると考え、腰に持っていた銃を密かに抜くのだった…。

作品を読んだ読者からは、「初めて読んだ時の衝撃が凄すぎた」「シャンティ漫画ホントに破壊力ヤバイヨ………いや小説もだったわ」など、反響の声が多く寄せられている。

■漫画・須賀今日助さん「原作が持つ雰囲気を大切に…」、原作・佐野しなのさん「楽曲の世界を描く切り口の一つでいられたら…」
『シャンティ』第0夜(4/12)
『シャンティ』第0夜(4/12) / (C)須賀今日助・佐野しなの・wotaku・亞門弐形/KADOKAWA


――『シャンティ』の作画を担当することになったきっかけや理由などをお教えください。

須賀今日助:原作のイメージに私の作風が合うのではとご紹介いただきました。

原作楽曲を以前から拝聴させていただいていたことや、元々治安が悪めな世界観や鋭い表情をするキャラクターを描くのが好きなこともあって楽しく描かせていただいております…!

――『シャンティ』は楽曲を原作とした作品ですが、原作のどういったところにインスピレーションを受けて本作を執筆されましたか。

佐野しなの:書くうえで最初に強く惹きつけられたのが、MVに登場するお兄さんの存在でした。それから、繰り返すギターの旋律がものすごく好きなんですが、曲の冒頭でその音にだけ耳を澄ませていると、意識が吸い寄せられてボーカルがふっと後ろに引いて聞こえるんですね。そのままギターの音にだけ集中していると、その音が途絶えるのと同時に、バァン!って撃たれるんですよ。どこか遠くでお兄さんの語り掛けを聞いていたらもう戻れないところまで来ている。この没入から不意打ちを食らってぞくりとする感覚を、お話の中で再現出来たらいいなあと思いました。

――今作を創作するうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。

須賀今日助:楽曲と小説と二つの原作があるので、それぞれの原作ファンの方達にとって少しでも楽しんでいただける形になるよう原作が持つ雰囲気を大切に描かせていただいております。

また、漫画ではシャンティのお兄さん(真紅)の鋭い表情からコミカルな表情までさまざまな表情を描かせていただいておりますが、 原曲MVでの不適で飄飄とした笑顔のイメージから離れ過ぎないように自分なりに意識して描かせていただいております・・!

キャラの表情には特に気合いを入れて執筆しておりますので、注目してみていただけると嬉しいです!

佐野しなの:世界観や登場人物は自分の中で咀嚼したものを形にしています。楽曲の世界を描く切り口の一つでいられたら幸いです。ですが、なんというか、お話にするとどうしても「枠」や「型」が生まれてしまうわけで、それが「正解」のように受け取られてしまうのが正直とても怖かったんです。皆さんが楽曲を聴いて生まれた感情やイメージって、それぞれがとても大事なものじゃないですか。そこにお話を提示することで、自分の感じたことを「修正」してしまう方がいるかもしれない……。それは自分の中では好ましくないなあと思っておりまして、楽曲が正典であるというスタンスは絶対に崩したくなかったですし、だからこそお話についても余白というか読んだ方の中で膨らんでいくような部分を残すことを意識していました。

――第0夜のなかで特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

須賀今日助:やはり1P目で真紅が声をかけてくるところです。

楽曲の歌詞が引用されている「シャンティ」を象徴するシーンだと思いますので…!

そこから続けて、真紅が相手の心情を見透かし寄り添うようなそぶりを見せながら相手を陥れていく過程が怖くて好きです。

佐野しなの:「君の人生は最悪だ」から続く一連の台詞ですね。楽曲の歌詞も「共感と受容での支配」から始まっていると思っていますので、それを膨らませたつもりなんですけども。距離を詰めて自分のペースに持っていく、その誘導の技術の書き方が自分でも気に入っている部分です。もう自分の人生終わりだ、自分には何もないってうな垂れている時に、そんなこと言っちゃダメだよ! 未来は明るいって! とか言われたら心の扉ピシャって閉じちゃうじゃないですか。自分のこと全然わかってくれないじゃんこの人、って。逆に、自虐に対して、君は本当にだめだね、って寄り添ってくれる人に安心して、信頼して、ふらっとついていってしまう。そういう相手の心の隙を利用した誘導の技術です。

あと「君には払えないだろうけどね」の表情もいいですよね。どこか引っかかるような感じというか、単なる値踏みではない複雑なものが滲み出ていてすごいなあと思いました。どう表現すべきか迷いますが、後から見返してほしい一コマと言いますか、ふとした瞬間印象が変わる一コマと言いますか。

――X(旧Twitter)の投稿には、多くの“いいね”やコメントが寄せられていました。今回の反響について感想をお聞かせください。

須賀今日助:漫画をポストをする前に拡散のご協力をお願いするポストをしたこともあり、ご協力をしてくださったフォロワーさまや関係者さま方を始め、0話のポストに反応をしてくださった全ての方々にとても感謝しております…!

この0話のポストをきっかけに「シャンティ」が漫画化していたことを知ってくださった方がいらっしゃいましたら嬉しいですし、原作と合わせて漫画の方も楽しんでいただけたら幸いです…!

佐野しなの:須賀先生の惹きつけ力ですよね! シンプルに、すごい! って思いました。同時に作品の存在に気づいてもらえたこと自体がうれしかったです。

それと、キャラの人物像もあまり違和感なく受け取っていただけたようで、ほっとしました。

――ご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。

須賀今日助:原作付きのお仕事に関しましては、原作の魅力を別媒体でいかに伝えられるかを重視して尽くすような気持ちで制作することが多いので、原作の関係者さま方と原作のファンの方々に納得していただけるような形で描ききることが今作においての目標です…!

その後につきましては、とにかくたくさん描いて世に出していくことが目標です。

いろんなお仕事にチャレンジしていきたいですし、生涯現役でいたいです…!

佐野しなの:以前、友人の作家さんが「物を書き続けているのではなくて、本当はひとつの区切りがあるたびに毎回やめていて、また新しく始めてるだけなのかもしれない」と言っていて、これがものすごく好きな言葉なんですね。自分にもこの続け直すというような感覚があるので、これからも新しく始め続けていけたらいいなあと思います。

――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。

須賀今日助:いたらないながら最後まで自分なりに精一杯精進しつつ執筆してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします・・!

既刊コミックス1巻の続きも怒涛の展開なので、原作楽曲や原作小説とともに楽しんでいただけましたら幸いです!

佐野しなの:「シャンティ」コミックス版、ここから登場人物も増えていきますので、物語の行く末を見守っていただけたらうれしいです。また、ノベライズについてはシリーズ続編である「マフィア」が9月に刊行予定ですが、これが決定したのはひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございます。

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