刑務所を出た人たちを受け入れる施設への委託費が不足していた問題をめぐり、2025年度の補正予算が国会で成立し、委託費として2億4000万円が追加で充てられることが決まった。施設の関係者からは「首の皮一枚つながった」と安堵の声が上がっている。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●今年度末に2.6億円超の不足が見込まれていた
「更生保護施設」や「自立準備ホーム」は、刑務所を出所した人や、裁判で執行猶予判決を受けた人のうち、帰る家や仕事がない人たちを一時的に受け入れ、社会復帰をサポートしている。
主に国からの委託費で運営されており、本人の更生だけでなく、再犯防止の観点からも不可欠な存在だ。一方で、もともとボランティアで成り立っている側面が強いとされる。
こうした中、法務省保護局が今年10月、全国の保護観察所長などに宛てて出した事務連絡が波紋を広げた。
その文書には、8月までの状況を踏まえると、「本年度末時点で2億6000万円以上の(委託費の)不足額が生じる見込み」と明記されていた。
さらに10月以降、「一人当たりの平均委託日数を全国平均で65.3日以内にすることを目安にすること」を求めていた。
この事務連絡の内容は、実際に出所者らを受け入れる施設にも伝えられ、現場では「再犯が増える」「つぶれる施設が出る」「刑務所に戻ったほうがいいと考える人も出てくる」といった困惑や不安の声が広がった。
●補正予算成立、利用者の男性は泣き崩れた
法務省は当初、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、補正予算で補填する見通しは立っていないと回答していた。
しかし、委託費不足の問題は国会でも取り上げられ、11月21日の衆院法務委員会で平口洋法務大臣が「補正予算をすでに要求している」と表明するに至った。
その後、12月16日に2025年度の補正予算が成立。法務省によると、この中で委託費として2億4000万円が充てられることになったという。
これを受け、ある自立準備ホームの関係者は「廃業することも頭をよぎったが、首の皮が一枚つながった」と胸をなでおろした。
法務省が委託日数を短くするよう求めた後、この施設は1人の男性を受け入れた。委託費で賄われる食費の対象期間が60日から15日に短縮されるなどの影響を受けたが、補正予算の成立で、施設に滞在できる期間が従来どおりに戻ることになった。
そのことを本人に伝えると、安心したのか、男性はその場で泣き崩れたという。


