夫婦喧嘩をお義母さんに報告した元太に対し、ゆみこは冷静にその真意を問い詰めます。元太は自分の非を認めず、怒ったゆみこが「怖かった」と子どものような本音を漏らして…。
夫へ静かな怒りが沸く
お義母さんからのLINEを見た瞬間、私の頭の中は真っ白になりました。そして、次の瞬間には、静かな怒りがじわじわと沸き上がってきました。 どうして、私たちの喧嘩を、お義母さんに相談するなんてことになったんだろう。
元太が帰宅したとき、私は平静を装うことにしました。感情的に話しても、また「妊娠してるからピリピリしてる」なんて言われるのが嫌だったからです。
夫の親への頼り方が異常
夕食後、元太がリビングでテレビを見ているときに、私はあえて軽い口調で切り出しました。
「ねえ、元太くん。今日、お義母さんから LINE が来たんだけど」
元太は「え、そうなの?」と、少しだけ表情がこわばったように見えました。
「『元太から話は聞きました』って書いてあったんだけど、私たちの大喧嘩のこと、お義母さんに相談した?」
元太は、少し視線を泳がせながら言いました。
「ああ、ちょっとだけね」
「それで、どんな内容で相談したの?」
私はじっと元太の目を見つめました。元太は、まるで自分の犯した罪を悟られないように、言葉を選びながら話し始めました。
「その、ゆみこがすごく怒ってて、俺、どうしたらいいかわからなかったから、お母さんに『どうしたらゆみこの機嫌が直るか』聞いたんだよ」
元太は自分がなぜ私を怒らせたのか説明せず、ただ私が怒っていると報告したようです。そんなの、自分のしたことをひた隠しにしているようで卑怯だと思いました。
「私が具合が悪いのに飲み会に行くから怒らせたんでしょ?そこは言わなかったの?」
「いや、だって飲み会に行くことは前もってお母さんにも相談してあったから…わざわざ言わなくても…」
元太は口ごもります。私は、このけんかの流れを一切説明していない元太にこれ以上話を聞いても無駄だと思いました。
「はあ、もういいや。で、お母さんはなんて言ってたの?」
「ゆみこも妊娠中で大変なんだから、ちょっと怒りっぽくなっても許してあげなさいって」
私は、元太の言葉を聞いて、思わず吹き出しそうになりました。もちろん、悪い意味でです。

