自宅介護で「接遇の5原則」を取り入れる際に気を付けたいこと

自宅介護においても接遇の心を忘れずに、丁寧に接することは大切ですが、一方で家族介護ならではの難しさもあります。最後に、在宅で介護をする際に5原則を実践するうえで気を付けたいポイントを確認しましょう。
介護者自身を追い込まないようにする
ご家庭で介護をするとき、接遇マナーを完璧に実践しようとするあまり、介護する側(家族)が心身ともに疲弊してしまっては本末転倒です。家族介護者も「いつも優しくしなければ」「常に笑顔でいなければ」と自分にプレッシャーをかけすぎると、燃え尽き症候群に陥る危険性があります。そうならないために、頑張りすぎず適度に力を抜くことも必要です。
もちろん思いやりを持って接する姿勢は大切ですが、イライラしてしまう日や疲れて笑顔になれない日もあるでしょう。そんな自分を責めすぎないでください。介護者が心に余裕を失うと接遇どころではなくなり、虐待的な言動につながるおそれすらあります。定期的に介護サービスのレスパイト(休息)を利用したり、趣味や気晴らしの時間を確保したりして自分自身のケアを忘れないようにしましょう。
介護者だけでなく同居人や親戚など全員に共有する
接遇の5原則は、介護に関わるすべての方で共有すべき心得です。主たる介護者が丁寧に接していても、ほかの家族が乱暴な言葉遣いやぞんざいな態度で接してしまえば、介護される方は傷つき混乱してしまいます。家族であっても高齢の親を一人の大人として敬う姿勢が欠かせません。介護はチームで行うものという意識を持ち、同居する家族や頻繁に関わる親戚にも接遇マナーの大切さを理解・共有してもらいましょう。全員が礼節を守って協力することで、高齢の方の尊厳を守る介護環境が整います。
介護者がいつでも専門家に相談できる環境を整えておく
在宅介護では、接遇マナーを心がけていても行き詰まる場面が出てくるかもしれません。例えば、介護する家族が限界を感じて思わずきつい言葉をぶつけることや、どう接すればいいか悩んでしまうこともあるでしょう。そんなときに孤立せず専門家に相談できる環境を用意しておくことも大切です。
地域包括支援センターやケアマネジャー、訪問介護スタッフなど、専門知識を持った第三者に状況を話すことで適切なアドバイスや心のケアを受けることができます。最近では介護者向けのオンライン相談サービスも登場しており、深夜でもプロのカウンセラーが悩みを聞いてくれる窓口があります。そうしたサービスを利用すれば、介護の具体的な困りごとから心の辛さまで気軽に専門家に相談できます。
まとめ

接遇の5原則は介護サービスの質を支える基本であり、介護される方の尊厳を守り安心感を与えます。一方、家庭で介護をする際も礼節を忘れないことが大切ですが、介護者自身が無理をしないよう周囲と協力して続ける工夫も必要です。形より大切なのは相手を思いやる心であり、その心さえ忘れなければ自然とマナーは行動に表れるでしょう。
参考文献
『⾼齢の⽅・障害のある⽅などをお迎えするための 接遇マニュアル』(環境庁)

