男性の皆様、自分の陰嚢をしっかりと観察したことはありますか?ちょっと見えにくいところにあって、意外とちゃんと見たことがある人は少ないのではないかと思います。また、人の陰嚢をまじまじと見る機会もないので、人と比べてどうなんだろう、と思うかもしれません。よく観察してみましょう。血管が浮き出ているように見えることはないですか?
今回は睾丸の血管が見える際に注意するべきことや、関連する病気について解説していきます。

監修医師:
五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
睾丸の血管が見えると病気の可能性がある?
睾丸の血管が見えることが、直ちに病気につながるわけではありません。ただし、血管が目立つことが病気の発見につながることもあります。
まずは、どんな病気に関連するか解説していきます。
睾丸の血管が見えることで考えられる病気・原因
睾丸の血管が見えることで見つかる病気について紹介していきます。あまり聞きなれない病名もあるかと思いますが、一つ一つ確認していきましょう。
精索静脈瘤
精索静脈瘤の原因
精索静脈瘤は、睾丸から心臓に戻る静脈の血流が滞り、静脈が異常に拡張してしまった状態になります。原因は静脈にある逆流防止弁の異常が最も多く、ほかに肥満や腫瘍の圧迫によって起こることもあります。逆流防止弁の異常については、遺伝や加齢が原因として指摘されています。
ごく稀に、腎臓や腹部にできた腫瘤が静脈を圧迫することで生じることもあります。成人で突然生じた場合は、原因となっている腫瘍がある場合が考えられ、注意が必要です。
精索静脈瘤の症状
睾丸の血管がクモ状に目立つのが特徴です。超音波検査ではこぶ状の拡張した血管がみられるのが特徴です。また、構造的に左側に起こりやすく、左右差がある場合は注意が必要です。血管が目立つ以外に、鼠蹊部の鈍痛や違和感が生じることもあります。ただし、血管が目立つ以外の症状がないこともあります。
実は男性不妊の原因として一番多く、不妊症の精査で発見されることも少なくありません。
不妊症の検査で精子数の減少を指摘された場合、まず疑うのがこの疾患です。
治療は手術であり、手術によって精子数も改善します。
陰嚢水腫
陰嚢水腫の原因
成人と小児いずれにも起こります。いずれの場合も本来閉じるべき膜が閉じていないために、腹水が流入して起こります。小児の場合は膜の形成不全であり、成人の場合肥満や腹圧の上昇により、膜構造が破綻して起こります。
小児では、胎児の段階で閉じるべき腹膜鞘状突起が閉じなかったために起きます。
成人の場合、多くは肥満や腹圧の上昇に伴い、腹膜が破綻して腹水が流入することで起きます。それ以外にも睾丸上体炎などの炎症、外傷、リンパ液の鬱滞で起こることもあります。
陰嚢水腫の症状
片側、両側いずれの場合もありますが、表面がツルツルし、触ると柔らかい状態で陰嚢が腫れるのが特徴です。痛みはないことが多く、光を当てると液体が透けるのが最大の特徴です。
根治するためには手術が必要になりますが、腫れが小さければ経過観察で良い場合もあります。成人では定期的に陰嚢を穿刺して、内容液を回収することもあります。
陰嚢被角血管腫
陰嚢被角血管腫の原因
あまり聞きなれない病気かもしれませんが、赤いぶつぶつが血管のように見えるのと、そもそも血管が原因の病気なのでこちらで解説します。加齢が原因で、50歳以上の男性にみられます。加齢、糖尿病や高血圧の基礎疾患により、毛細血管の壁が弱くなり、刺激によって小さな出血を起こすことが原因です。
また、慢性的な刺激、長時間の座位、運動(サイクリング)による摩擦が関与すると考えられています。
陰嚢被角血管腫の症状
小さな赤紫色または暗赤色の斑点が多数発生しますが、痛みはないことが多いです。稀に太ももの付け根やペニス周囲にみられることもあります。痛みやかゆみがなければ経過観察で構いませんが、放置すると少しずつ範囲が広がったり、出血をきたしたりする場合があります。
鼠蹊ヘルニア
鼠蹊ヘルニアの原因
腹壁の膜が破綻することによって、腸の一部が睾丸の方まで落ちてくる状態です。睾丸が腫れて血管が見えていると思うかもしれませんが、もしかしたら腸の一部を見ているのかもしれません。
鼠蹊ヘルニアの症状
腹圧がかかった際に、腸の一部が降りてきて陰嚢が腫れてきます。立った時やお腹に力を入れた時に腫れが強くなるのが特徴です。その際に、痛みや違和感が出ることがあります。
治療は腫れの程度にもよりますが、基本的には手術になります。この場合、外科で手術されることが多いです。
睾丸腫瘍
睾丸腫瘍の原因
睾丸にできる腫瘍で多くの場合が悪性、つまりがんです。
原因は正確にはわかっていませんが、以下の要因がリスクを高めると考えられています。
停留睾丸:出生時に睾丸が下降せず、腹部や鼠蹊部に止まってしまう状態です。睾丸がんの発症リスクが3−14倍になると言われています。
遺伝的要因:血のつながった家族に睾丸がんの方がいる場合、リスクが数倍になると言われています。
人種的要因:欧米の白人男性に多く、アジア人やアフリカ系では少ないです。
ホルモン異常、環境要因:妊娠中の母親がエストロゲンを多く摂取することで発症が増えると考えられています。
HIV感染:やや発症リスクが上がると考えられています。
睾丸腫瘍の症状
一般的には、片側の痛みを伴わない睾丸のしこりで発見されます。しこりは硬く、表面がゴツゴツしていることが多いです。中には鈍い痛みや不快感を伴うものもあります。
治療は基本的に手術で、追加で化学療法が実施されることもあります。しっかり治療すれば、きちんと治ることが期待できるので、病気が見つかった場合はしっかり治療を受けましょう。

