ふらふらする、朝すっきりと起きられない、などの低血圧の症状を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。低血圧自体は生命維持に支障を来さないため、治療対象とはなりません。しかし、低血圧に起因するめまいや立ちくらみなどの症状は治療対象となり、漢方薬で対処することも可能です。本記事では、低血圧にまつわる症状に効く漢方について解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
低血圧の定義と症状

低血圧の基準を教えてください
WHOでは、収縮期血圧値100mmHg以下、拡張期血圧値60mmHg以下を低血圧と定めています。ただ、血圧値が低血圧の基準にあてはまるだけでは、治療対象とはなりません。低血圧に伴う臨床症状が認められる場合に、治療対象となります。
低血圧になるとどのような症状が現れますか?
立ちくらみやめまいが特に多くみられます。そのほかには、朝起き不良、頭痛・頭重、倦怠感・疲労感、肩こり、動悸、胸痛・胸部圧迫感、失神発作、悪心などが現れます。
低血圧と漢方薬

漢方薬とはどのような薬ですか?
漢方薬は、さまざまな生薬の組み合わせからなる、漢方医学に基づく薬です。生薬とは、植物や動物、鉱物などの自然界に存在する、症状に対して効き目のある物質を加工したものです。漢方医学とは、中国から伝来した経験医学をもとに、日本の風土や気候、日本人の体質に合わせて独自に発展した医学です。漢方薬では、症状のある部位のみを治療するとの考えではなく、身体全体を治療対象とします。また、漢方薬によって自然治癒力を高め、病気を治すのは、患者さん本人と定義されています。
参照:『漢方とは(概論)』(日本臨床漢方医会)
低血圧に効果がある漢方薬はありますか?
さまざまな漢方薬が低血圧による多様な症状に対して効果を示します。胃腸の働きを整えることで、疲労感やだるさ、貧血などの症状を改善することが期待されるのが、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)と十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)です。
四物血行散(しもつけっこうさん)は血液の循環を整えることで、貧血や疲労感などの症状を改善します。また、半夏白朮天麻湯(はんげはくじゅつてんまとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、五苓散(ごれいさん)は、体内の水の滞りを改善して、疲労感やめまい、頭痛、冷えなどの症状を緩和する作用が期待されます。
漢方医学に基づいて患者さんの体質を確認し、患者さんに合った漢方薬を処方します。
漢方薬が低血圧に効くとされる根拠を教えてください
低血圧は、心臓のポンプ機能が弱い、そもそもの血液量が少ない、などのさまざまな理由で十分な血流を保てていない状態です。よって、一般的に低血圧の治療では、血流を改善させることが重要とされています。血流が滞る原因は、患者さんによって異なります。漢方医学は、患者さんそれぞれの原因を見極め、症状に応じた処方で、症状の改善を目指します。
低血圧に効果的な漢方薬はどこで処方してもらえますか?
大学病院のような大きな病院でも、小さなクリニックでも、漢方外来を設けている病院があります。また、一般的な内科で漢方を取り扱う病院もあります。ドラッグストアなどでも漢方薬は販売されており、近年は、病院で処方されるものと成分や含有量が同じ商品もあります。ただ、専門の医師の診察を受けたほうが、より自分に合った漢方薬を処方してもらえる可能性が高いうえ、健康保険が適用されることもあります。

