低血圧の方が漢方薬を服用する際の注意点

低血圧の人が漢方薬を飲むことにリスクはありますか?
一般的に漢方薬は副作用が少ないものが多いですが、まったくないわけではありません。低血圧に効く漢方薬で知られている副作用には以下のものがあります。
漢方薬名 主な副作用 注意が必要な方
補中益気湯
十全大補湯
むくみ、高血圧、低カリウム血症
高齢者、心疾患・腎疾患のある方
当帰芍薬散
四物血行散
発疹、かゆみ、食欲不振、胃部不快感
過去に薬で発疹が出た方、胃腸が弱い方
五苓散 発疹、発赤、かゆみ 過去に薬で発疹が出た方
半夏白朮天麻湯 発疹、蕁麻疹(じんましん) 過去に薬で発疹が出た方
また、特に合併する疾患や服薬中の薬がある場合、漢方薬の服薬によって、副作用が出たり、症状が悪化したりする場合があります。診察時に合併する病気や服薬中の薬に関して詳細な情報を伝えたうえで、漢方薬を処方してもらうようにしましょう。
低血圧の人が漢方薬を服用する際の注意点を教えてください
低血圧の原因は、患者さんの体質によるものだけでなく、別の病気に起因する場合や薬の副作用である場合があります。患者さん自身で判断するのではなく、医療機関で診察を受け、別の病気が隠れていないか、ほかの治療中に用いている薬の副作用ではないか、などの判断を受けるとよいでしょう。
また、自身の体質に合わない漢方薬を服用すると、逆に症状が悪化する場合があります。複数の漢方薬を組み合わせることで、新たな副作用が発現する場合もあります。漢方に精通した医師の診察で、ご自身に合った漢方薬を処方してもらいましょう。
漢方薬でも低血圧が治らないときはどうすればよいですか?
低血圧の改善には、以下に示すような生活習慣を整えることがとても大切です。
対策項目 ポイント
バランスのとれた食事をする 特にタンパク質・ミネラル・ビタミンを十分に摂取することが大切です。
こまめに水分を補給する 喉が渇く前に水分をとりましょう。
適度な塩分を補給する 一般的には、塩分は控え目に摂取することが推奨されていますが、低血圧の方は医師の指示のもとで適度に摂取することが望まれます。ただし、とりすぎには注意が必要です。
適度な運動をする 筋肉量の不足や、長時間の立位に慣れていないことが低血圧を招く場合があります。無理のない範囲で体を動かす習慣をつけましょう。
食後にカフェインをとる カフェインは交感神経を刺激し、血液循環をよくする働きがあります。ただし、摂りすぎには注意しましょう。
また、場合によっては、以下のような血圧自体を上げる薬が処方されることもあります。
薬剤名 主な作用機序 作用の特徴
塩酸ミドドリン 動脈系に直接作用して血管を収縮させます。 血管を収縮させて血圧を上昇させます。
塩酸エチレフリン 交感神経を刺激して血圧を上げます。 心拍数や心収縮力も増強させ、全身の血圧を上昇させます。
メチル硫酸アメジニウム 交感神経機能を間接的に亢進させます。 神経伝達を強めて血管を収縮・血圧を上昇させます。
なお、低血圧が別の病気や薬物に起因している場合もあります。症状が強い場合や長期間続く場合は、早めに医師に相談しましょう。
編集部まとめ

低血圧自体は、深刻な病気ではありませんが、さまざまな症状を引き起こし、QOLを下げることがあります。症状がつらい場合は、生活習慣の見直しとともに、漢方による治療も選択肢の一つに加えてはいかがでしょうか。ただし、低血圧の背景に別の疾患が隠れている場合もあります。患者さん自身で安易に漢方薬を選択して服薬するのではなく、医療機関で診察を受けたうえで、患者さんに適した漢方薬を処方してもらうとよいでしょう。
参考文献
『低血圧 』(薬事情報センター | 一般社団法人 愛知県薬剤師会)
『漢方とは(概論)』(日本臨床漢方医会)
『漢方の得意な病気』(日本漢方生薬製剤協会)
『漢方外来 Q&A』(北里大学医学部 )
『治療法ない低血圧 症状の軽減が主眼』 (北里大学)
『めまいやふらつきに効く漢方』(東海大学病院)

