ICD(植込み型除細動器)の費用
ICD(植込み型除細動器)の費用は、機器本体、手術費、入院費、検査費、術後の管理費などが合計されるので高額です。総額は医療機関、治療内容によって異なりますが、数百万円程度になるのが一般的です。実際の負担額は保険適用の有無や自己負担割合で大きく変わります。以下にその違いについて解説します。
保険適用の場合
ICD(植込み型除細動器)は保険適用となるため、実際の自己負担額は大幅に軽減されます。高額療養費制度が適応となるからです。患者さんの所得金額に応じて支払う金額は変動しますが、月あたり数万円程度となることが多いです。
自費診療の場合
日本では、ICD(植込み型除細動器)植込みを自費で行うケースはほとんどありません。自費の場合、費用負担は大きいです。機器本体の価格に加え、手術費、入院費、術後管理費などがすべて自己負担となるからです。その費用を自費で支払う場合、総額は数百万程度になることが多いです。また、ICD(植込み型除細動器)埋め込み後の、外来費用、機器管理、消耗品の交換など継続的な費用も加味する必要があります。
どんな病気に罹患すると植込み型除細動器が必要になる?
植込み型除細動器が必要となるのは、命に関わる重篤な不整脈を起こす危険性が高い病気に罹患した場合です。具体的な疾患を5つあげて解説します。植込みは、入院のうえ局所麻酔による手術が必要で、循環器科や心臓血管外科のある総合病院で行われます。
心筋梗塞後の心機能低下
心筋梗塞を起こすと、心筋の一部が壊死し、心臓の収縮力が低下します。この状態になると、心室頻拍や心室細動などの致死性不整脈が発生しやすくなり、突然死の危険性が高まります。そのため、命を守る目的で、ICDの植込みが推奨されます。
一方、補助人工心臓は低下した心臓のポンプ機能を補助する治療であり、不整脈を防ぐICDとは役割が異なる治療です。
肥大型心筋症
肥大型心筋症は、心筋が異常に厚くなり、心臓の拡張が妨げられる疾患です。若年において、運動時に致死性不整脈が起こり、突然死を来すケースがあるので要注意です。突然死のリスクが高いと判断された場合、予防的にICDの植込みが検討されます。
補助人工心臓は、本疾患において適応となることは稀ですが、著明な心機能低下を伴う重症心不全に進行し、他の治療で十分な改善が得られない場合には考慮されます。
ブルガダ症候群
ブルガダ症候群は心電図異常と致死性不整脈を特徴とする遺伝性疾患で、突然心停止を起こす危険性があります。自覚症状が無い患者さんが多いですが、失神歴や心停止の既往がある患者さんではICDの植込みが検討されます。主に、植込み型除細動器による管理が中心で、補助人工心臓が適応となることはほとんどないです。
先天性QT 延長症候群
先天性QT延長症候群は、生まれつき心電図上のQT間隔が延長し、致死性不整脈が起こりやすくなる疾患です。突然の動悸、失神、心室細動による突然死を起こすことがあります。薬物治療でコントロール困難な場合には植込み型除細動器が検討されます。補助人工心臓は通常必要ありませんが、不整脈発作を繰り返し心機能が極度に低下した重症例では最終手段として考慮されることがあります。
カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)
CPVTは、運動や強い緊張などで分泌されるホルモンである、カテコラミンの影響により、心室に心室頻拍や心室細動などの致死性不整脈が起こり、失神や突然死を起こす遺伝性疾患です。主に、運動中や興奮時に発作が起こるのが特徴です。薬物治療でコントロールが難しい場合に、ICDの植込みが検討されます。補助人工心臓が適応となることは稀ですが、重篤な不整脈の反復により心機能が著しく低下し、重症心不全に陥った場合に検討される場合があります。

