X(エックス)は12月25日までに、投稿された画像をAIで加工できる新機能の提供を始めた。
投稿された画像にカーソルをあわせると「画像を編集」という項目が表示されて、チャット形式で指示を出すことで、画像の加工や出力ができる。
この機能は、自らのアカウントで投稿した画像だけでなく、他のアカウントが投稿した画像も手軽に「改変」できることから、誤解や混乱を招くのではないかと懸念する声も出ている。
こうした動きと時期を同じくして、人気漫画「Dr.STONE」の作画で知られるBoichiさんは「当面の間、Xでの漫画およびイラストの公開を中断することにしました」とXに投稿した。「Xで新たに追加された機能がきっかけ」と説明している。
実際に弁護士ドットコムニュースのXアカウントで、過去に投稿した東京地方裁判所の建物の写真を使って試したところ、画像内の「裁判所」という文字を「警察署」に変更することができた。

今回の新機能には、どのような法的問題があるのだろうか。著作権法にくわしい高木啓成弁護士に法的な考え方を整理してもらった。(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)
●本来的には権利侵害にあたる
たとえば、イラストを制作したイラストレーターは、そのイラストについて著作権と著作者人格権を有しています。
著作権には、複製権(著作権法21条)、公衆送信権(23条1項)が含まれており、著作者に無断で複製したり、インターネット上に掲載することはできません。
また、著作者人格権には、自分の著作物を無断で改変されないという「同一性保持権」(20条)が含まれています。そのため、著作者の承諾なく改変することもできないのです。
つまり、他人の著作物を無断で改変し、それを投稿する行為は、著作権および著作者人格権を侵害することになり、違法といえます。
●著作権法上の原則が通用しない? Xの利用規約に注意
しかし、X上では事情が異なってくるのです。
Xの利用規約には、次のような記載があります。
「ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介してコンテンツを送信、ポストまたは表示することによって、当社が、既知のものか今後開発されるものかを問わず、あらゆる媒体または配信方法を使って、あらゆる目的に、かかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、改変、修正、公表、送信、表示、アップロード、ダウンロードおよび配信するための、世界的かつ非独占的ライセンスを(サブライセンスを許諾する権利と共に)当社に対し無償で許諾することになります」(Xの利用規約)
要するに、「Xのユーザーは、X上にコンテンツをポストした場合、そのコンテンツを複製・送信・改変などして利用することをX社に許諾したことになりますよ。そして、X社は、第三者に対しても、そのような利用を許諾することができますよ」という内容です。
この規定はかなり抽象的であるものの、Xにイラストを投稿した時点で、X社が、そのイラストをAIを用いて改変して再投稿することや、他のXユーザーにそのような行為を認めることも可能だと読めます。
こうした包括的な規定だけを根拠として、今回のようなAI加工機能を実装することが適切かどうかは疑問が残ります。しかし、法的に違法だというのはかなりハードルが高いように思われます。

