新潟県湯沢町の国道17号・芝原トンネル付近の雪道で、ノーマルタイヤの車が登坂不能に陥る事案が発生したとして、国土交通省長岡国道事務所は12月4日、Xで「ノーマルタイヤでの雪道走行は法令違反」と注意を呼びかけました。
雪の中で立ち往生している車両の写真も投稿され、「春まで放置で」「罰金を10倍にしたほうがいい」など、ノーマルタイヤでの走行を批判するコメントが相次いでいます。
では、ノーマルタイヤで雪道を走行した場合、具体的にどのような法令に抵触する可能性があるのでしょうか。
冬本番を迎える今、ドライバーが知っておくべき法的ポイントについて、齋藤裕弁護士に聞きました。
●「運転者の遵守事項」違反に問われる可能性
──ノーマルタイヤで積雪路面を走行することについて、道路交通法ではどのような規定がありますか。
道路交通法は、車両等の運転者が守るべき事項を定めています。ノーマルタイヤで積雪路面を走行する行為は、この遵守義務違反に問われる可能性があります(道路交通法71条1項6号)。
また、この規定を受けて、沖縄県を除く各都道府県の公安委員会は、道路交通法施行細則により、積雪等の場合にはタイヤの滑り止めを義務付けています。
──雪国である新潟県ではどうなっているのでしょうか。
新潟県道路交通法施行細則12条(*)で、積雪または凍結時にスタッドレスタイヤなどの滑り止めの装着を義務付けています。
●もしもノーマルタイヤで事故を起こしたら?
──今回のケースのように登坂不能を起こし、交通を妨げた場合、どのような法令違反になるのでしょうか。
積雪にもかかわらず、スタッドレスタイヤ等を装着せずに走行した場合、道路交通法71条1項6号違反として、5万円以下の罰金に処せられる可能性があります(道路交通法120条)。
──もしノーマルタイヤで事故を起こした場合、どのような刑事責任に問われる可能性がありますか。
自動車運転死傷処罰法5条(過失運転致死傷)は、次のように規定しています。
「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する」
積雪があるのにノーマルタイヤで運転する行為は、運転上必要な注意を怠ったと評価される可能性があります。
結果として人を死傷させた場合、過失運転致死傷罪(7年以下の拘禁刑)などに問われる可能性があります。
(*)新潟県道路交通法施行細則12条
法第71条第6号の規定に基づき、車両等の運転者が遵守しなければならない事項を次の各号に掲げるとおり定める。
(1)積雪又は凍結のため、すべるおそれのある道路において自動車又は原動機付自転車を運転するときは、次のいずれかに該当するすべり止めの措置を講ずること。
イ 前又は後の駆動輪のタイヤに鎖等を取り付けること。この場合において、他の車両をけん引するときは、被けん引車の最後軸輪にも鎖等を取り付けること。
ロ 全車輪に、すべり止めの性能を有する雪路用タイヤを取り付けること。
【取材協力弁護士】
齋藤 裕(さいとう・ゆたか)弁護士
刑事、民事、家事を幅広く取り扱う。労災・労働事件、個人情報保護・情報公開に強く、新潟市民病院医師過労死訴訟、トンネルじん肺根絶訴訟、ほくほく線訴訟などを担当。共著に『個人情報トラブル相談ハンドブック』(新日本法規)など。
事務所名:さいとうゆたか法律事務所
事務所URL:https://www.saitoyutaka.com/

