●「今までも泊めていない」
それでもフロント担当者は「社長が不在で、自分の一存では決められない」と対応を保留し、「うちはずっと、外国人には在留カードかパスポートの提示を求めてきた」とも述べたという。
では、パスポートや在留カードを携帯していない特別永住者について、これまでも宿泊を断ってきたのか──。女性がそう問いかけると、担当者は「今まであなたと同じ立場の方をお泊めしたことはないですし、お引き取り願っていました」と答えたという。
女性は、特別永住者が日本に存在する歴史的経緯を説明すれば、ホテル側も誤りに気付くのではないかと期待して、話し合いを続けたという。
しかし、やりとりを始めて約40分後、社長と電話がつながったフロント担当者から、その伝言として「お引き取りください。訴えるならどうぞお好きにしてください」と告げられた。
●「通名を書けば泊める」提案に反発
さらに女性によると、社長と電話がつながる前、フロント担当者から次のような提案もあったという。
「日本で生まれて日本で育ったんですよね。だったら通名がありますよね?通名を宿泊名簿に書けば、社長の許可がなくてもお泊めすることができます」
女性は即座に「それは創氏改名の繰り返しであり、本当にしてはいけないことです」と拒否した。すると「どうするかはあなたが選ぶことであって、こちらは強制していません」と返したという。
創氏改名とは、日本が朝鮮半島を植民地支配していた時代、朝鮮固有の父系の血族集団を重視する姓名を日本式の家父長制に基づく氏名に改めさせたもので、皇民化政策の象徴とされている。
女性は「通名を名乗れば宿泊できる」という提案について、無意識の偏見や差別意識に基づく「マイクロアグレッション」を越えた、明確な差別だと感じたと語る。

