健康診断で胃ポリープといわれると驚く方も少なくないのではないでしょうか。胃ポリープは胃の粘膜がおできのように隆起したもので、腫瘍ではない良性のものが多いといわれています。
ポリープが小さいうちは経過観察することも多いのですが、大きくなったりがん化したりした場合は内視鏡を使って切除することもあります。
胃ポリープを切除となると、食事や日常生活に影響が出るのではないかと不安になるのではないでしょうか。
この記事では胃ポリープ切除の前後で注意すること、食事制限などについて解説します。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
胃ポリープとは
胃ポリープは胃粘膜の表面に発生する良性の隆起性病変を指します。ほとんどの場合、無症状です。
しかし、胃もたれ・食欲不振・不快感の症状が現れることもあり、また巨大化すると出血して鉄欠乏性貧血を起こすこともあります。健康診断の際に造影剤を使った胃のレントゲンで発見されることが多く、内視鏡検査での精密な検査が必要です。
5mm以下の小さなポリープでも表面を観察し、悪性が疑われる場合は内視鏡を使って切除します。
胃ポリープの種類
胃ポリープは3種類あります。多くは胃底腺ポリープと過形成性ポリープに大別され、少数の特殊型(炎症型・症候性・家族性)が存在します。内視鏡検査での見た目や周りの粘膜の特徴から診断が可能です。
胃底腺ポリープは周囲の粘膜と同じような色調で、ピロリ菌感染などによる炎症の影響がない胃粘膜に発生します。まれにがんの発生を疑うケースもありますが、基本的には経過観察で問題ありません。
一方の胃過形成性ポリープは、主にピロリ菌感染が原因で炎症を起こし、赤みの強いポリープです。ピロリ菌を除去することで約80%の患者さんのポリープが小さくなることがわかってきました。ピロリ菌を除去してもポリープが小さくならなかったり、がんの発生が疑われたり出血が続き貧血の原因になる場合は、内視鏡治療でポリープの切除が検討されます。
また胃ポリープに似た症状で胃腺腫もあります。胃腺腫は白色調の平坦な隆起で高齢者に多くみられる症状です。がん化のリスクはゼロではなく、20mm以上の大きさや窪みを伴う場合には内視鏡治療が行われます。
胃ポリープの切除方法
胃ポリープ切除には内視鏡を使った治療が行われます。お口から挿入した内視鏡によってポリープを切除する方法を内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)といいます。内視鏡の先端からスネアとよばれる輪状のワイヤーを出し、病変を締め付けて高周波電流で焼き切る方法です。
またポリペクトミーでは切除できない場合は、生理食塩水などを注入して病変を浮き上がらせて切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)や、病変の周りを高周波ナイフではぎ取る内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)も検討されます。ESDはポリペクトミーやEMRに比べて時間がかかる反面、深いところまで及んだポリープや大きめのポリープの切除が可能です。
いずれの治療法にも500人に1人程度の割合で出血や消化管に穴が開くリスクはあります。
胃ポリープ切除後の食事
胃ポリープ切除の手術は、ほかの部位の手術に比べて身体への負担が少ないのが特徴です。しかし痛みや出血が起こる場合もあるので、暴飲暴食はもちろんのこと、刺激物やアルコールは控えましょう。
症状や療養の状況によって個人差があるので、担当医師と相談して無理のない範囲で過ごすことが大切です。
基本的には1時間後から飲食できる
飲食を再開するタイミングは担当医師の指示を守ってください。のどの麻酔や鎮静剤がきれるまでの時間を考慮して、30分〜1時間は何も飲食しないことが重要です。手術後1時間から飲食は可能となりますが、検査前に絶食していたことも踏まえて、固形物ではなく水分から摂取しましょう。
ただしコーヒーや炭酸など刺激物は控えてください。固形物を食べるときは消化のよいものを心がけゆっくり食べましょう。痛みや不快感がないか確認しながら徐々に日常生活に戻していくことが大切です。
飲酒や脂っこい食事は避ける
胃ポリープ切除は負担が少ないとはいえ、回復までには時間がかかります。アルコールや脂っこい食事は胃への負担が大きくなるので控えましょう。ほかにも香辛料や濃すぎる味付け(酸味・甘味・塩味)も摂り過ぎないよう注意が必要です。冷たすぎる・熱すぎる食事も胃への刺激が増すので温度調整します。喫煙もできるだけ避けてください。
個人差はあるので担当医師と相談して、1週間程度は刺激物は控えましょう。
よく噛んでゆっくり食べる
よく噛むことによって、食べものが細かく砕かれるのと同時に、消化液がよく絡むので消化しやすくなります。ゆっくり食べることで、胃腸への食べものの急降下や、食べすぎを防ぐことができます。また食後30分は横にならず、ゆったり過ごすことも大切です。
胃ポリープ切除後におすすめの食事メニュー
消化のよい食べものを心がけましょう。食材の一例は以下のとおりです。
主食:お粥・白飯・うどん・パン・麩
主菜:脂肪の少ない肉(鶏、豚、牛)・脂肪の少ない魚類(鱈、鮃)・卵・豆腐
副菜:キャベツ・ほうれん草・白菜・里芋・長芋
果物:りんご・バナナ・桃
消化のよい食材でも調理方法によっては負担がかかる場合もあるので注意が必要です。フライや天ぷらは胃に負担がかかります。ミキサーを使って食材を細かくするなどの工夫も有効です。
やわらかくて消化のよい食事であれば制限はないので、お好みで召し上がってください。たまごがゆ・煮込みうどん・豆腐サラダ・野菜スープなどはいかがでしょうか。

