分子標的療法の費用
保険適用の場合
分子標的薬は価格が高いことが多いですが、疾患や適応条件を満たす場合は保険診療の対象になります。負担割合は自費診療だった場合の1〜3割で年齢や所得により異なります。高額療養費制度の併用も可能です。
自費診療の場合
保険収載されていない新規薬剤を自己輸入したり、適応外使用する場合は全額自己負担になります。ひと月の薬剤費だけで数十万〜数百万円になることも少なくありません。一方、治験に参加する際の薬剤の費用負担は、研究機関などが負担するためかかりません。
治験等を行う高度医療機関以外で、適応外使用を行う医療機関はまずありません。「保険適応でない分子標的療法」は詐欺医療の可能性があることに注意しましょう。
分子標的療法で治療をする病気にはどのようなものがあるか
分子標的療法は、特定の分子異常と治療効果が直接結びつく疾患で用いられます。代表的なのはがんですが、他の疾患でも行われることがあります。
乳がん・胃がん(HER2陽性)
特徴:乳がん・胃がんのうち、HER2タンパクの過剰発現タイプが分子標的療法の適応。
担当科:乳腺外科、消化器内科、腫瘍内科
肺がん(EGFR遺伝子変異ありタイプ、ALK融合遺伝子変異ありタイプ)
特徴:肺がんは遺伝子変異や融合遺伝子の有無で治療方針が決まるため、診断後は全例に遺伝子変異の検索をする。EGFR遺伝子変異ありタイプ、ALK融合遺伝子変異ありタイプが分子標的療法の適応。
担当科:呼吸器内科、腫瘍内科
大腸がん(RAS野生型タイプ)
特徴:RAS野生型の場合にEGFR抗体が有効で分子標的療法の適応。野生型というのはRAS遺伝子に変異がないことを指す。
担当科:消化器内科、腫瘍内科
リンパ腫(CD20陽性タイプ)
特徴:B細胞の表面に存在するCD20を標的にした抗体薬がある。腫瘍の本体にCD20が多く発現しているときに分子標的療法の適応。
担当科:血液内科
腎細胞がん
特徴:分子標的薬である血管新生抑制薬(VEGF経路)およびmTOR阻害薬が、投薬によるがん治療の中心となる。
担当科:泌尿器科、腫瘍内科

