がん治療の1つ「分子標的療法」とは?「化学療法」との違いも医師が解説!

がん治療の1つ「分子標的療法」とは?「化学療法」との違いも医師が解説!

分子標的療法の副作用

皮膚障害

● 代表薬剤
EGFR阻害薬:ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ
VEGF阻害薬/VEGFR阻害薬:スニチニブ、ソラフェニブ
● 特徴
EGFR阻害薬でざ瘡様皮疹(ニキビに似た湿疹)
VEGF/VEGFR 阻害薬で手足症候群(手掌/足裏の発赤・腫脹・痛み)
● 初期対応
保湿剤の継続使用
沢山歩くなどの刺激・摩擦・日光曝露を避ける
早期もしくは予防的な外用ステロイドや抗菌薬の使用
● 受診の目安
広範囲の皮疹、強い疼痛、化膿 → 皮膚科または主治医
症状が強い場合は薬剤調整(減量、中断)が必要となるため早めに相談する

下痢

● 代表薬剤
EGFR阻害薬(アファチニブ、オシメルチニブ)
多くのチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)
mTOR阻害薬(エベロリムス、パゾパニブ)
● 特徴
早期(1〜2週間)から起こりやすい
● 初期対応
経口補水液などで水分・電解質補給
ロペラミドなどの止瀉剤の早期使用
● 受診の目安
止瀉剤を使っても1日4回以上の下痢が数日持続していて尿回数が極端に減ったとき
脱水症状があるのに飲水が難しいとき

高血圧

● 代表薬剤
VEGF/VEGFR阻害薬:ベバシズマブ、レンバチニブ、アキシチニブ、スニチニブなど
● 特徴
VEGF阻害により血管内皮機能が変化し、治療開始数日-2週間以内の早期から高血圧が出現する
● 初期対応
家庭血圧測定を習慣化し、必要な内服は欠かさず行う
必要に応じて降圧薬調整
● 受診の目安
自覚症状は出にくいため、血圧の値に注意して主治医に報告する

薬剤性肺障害

● 代表薬剤
EGFR阻害薬:ゲフィチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブ
mTOR阻害薬:エベロリムス
● 特徴
空咳、息切れ、発熱、労作時の呼吸困難
特に EGFR阻害薬では日本人における発症率が比較的高い
● 初期対応
休息して症状観察していても改善しないようなら主治医へ電話するなど早めに相談
発症のタイミングは早期も遅発もあるため、薬剤使用期間は全期間注意が必要
● 受診の目安
咳・息切れが持続するときは主治医に伝える
呼吸苦が急速に悪化するようなら 緊急受診(入院加療が必要になることがある)

「分子標的療法」についてよくある質問

ここまで分子標的療法を紹介しました。ここでは「分子標的療法」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

分子標的療法はどんな人に効果的なのでしょうか?

横田 小百合 医師

分子標的療法は「ターゲットとなる遺伝子異常や異常分子構造を持つ患者」に有効です。事前にがん検体の遺伝子検査で治療適応の有無を確認します。

分子標的療法のデメリットについて教えてください。

横田 小百合 医師

分子標的療法は、治療目標とするがんの組織内にターゲット遺伝子異常がなければ効果は期待できない治療です。追加の検査費用や検査受診の負担があります。また、化学療法に比べれば少ないですが副作用があります。皮膚症状、下痢、高血圧、注入時反応など特有の副作用が出てきます。ご自身の分子標的療法で出やすい副作用を知っておくと、早期対処がしやすく、症状の悪化も予防しやすいでしょう。

まとめ

分子標的療法は「がんの異常分子構造をターゲット」にする治療です。事前の検査により、患者ごとに最適な薬を選択できる点がメリットです。
特有の副作用や費用の課題はありますが、分子標的療法のおかげで、従来治療では治療が難しかった症例にも比較的副作用の少ない選択肢を提供することができるようになっています。従来治療に加えてさらに治療の選択肢を増やすことで、QOL改善や生存期間延長に役立っている治療といえます。
一方、希望する全員が受けられる治療ではないですし、治療方針は病期やがん種により異なります。新薬でもあるため、従来治療にくらべて治療の流れや順序はさらに複雑化しています。分子標的療法も活用してより適切ながん治療が続けられるように、治療医とよく相談していきましょう。

「分子標的療法」と関連する病気

「分子標的療法」と関連する病気は18個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

固形がん

肺がん乳がん大腸がん肝細胞がん

腎細胞がん

甲状腺がん悪性黒色腫

血液がん

悪性リンパ腫

白血病(慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)

多発性骨髄腫

がん以外

関節リウマチ

炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)

アトピー性皮膚炎

重症喘息

尋常性乾癬

骨粗しょう症

近年、たくさんの疾患が分子標的薬の治療対象となりつつあります。ご自身が治療対象かどうかは主治医に聞いてみましょう。

「分子標的療法」と関連する症状

「分子標的療法」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

息が苦しくなる

血圧が上がる

出血しやすい

爪のまわりが痛む

手足の皮膚が赤くなる

下痢

疲れやすい髪の毛が抜ける

分子標的薬が始まる前には起こりうる副作用に関する説明がされると思います。確認して、当てはまる症状があった時には主治医に相談しましょう。

参考文献

NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology(NSCLC, Breast Cancer, Management of Toxicities)

ESMO Clinical Practice Guidelines – Management of toxicities from targeted therapies

国立がん研究センター(NCC)「薬物療法(分子標的治療)」

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配信元: Medical DOC

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