7位:じゃあ、あんたが作ってみろよ
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)はバズり方だけでなく、観終わった後も心に残る1本でした。自分らしさを見失いかけた鮎美(夏帆)と、完璧主義で超亭主関白思考の勝男(竹内涼真)。ふたりの別れを起点に、勝男は料理を通して自分の在り方を振り返り、鮎美も新たな出会いのなかで「私はどう生きたいのか」を探していきます。
ふたりの“愛らしさ”が作品を支える
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価値観を“アップデートしてめでたし”ではなく、変わろうとしてもぶつかるし、すれ違うし、全部がうまくいくわけじゃない。それでも相手を理解しようとして、前に進もうとする。そんなふたりの姿が応援したくなるほどチャーミングに描かれており、コミカルな展開ながら心に響きました。
何より完璧さを体現しつつ、傲慢さや無知、不甲斐なさまでさらけ出してなお「憎めない人間」にしなければならない勝男という難役を成立させた竹内涼真があっぱれ!夏帆の繊細な演技と並んで、ふたりの“愛らしさ”が最後まで作品を支えていました。
6位:波うららかに、めおと日和
『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)も、“愛らしい”ふたりが印象に残っています。昭和初期、交際0日婚から始まる新婚夫婦の甘酸っぱい心の交流を、焦らず丁寧に描いていく。おっとり可愛らしいなつ美(芳根京子)と、帝国海軍中尉で真面目だけど不器用な瀧昌(本田響矢)の夫婦がとにかく尊い!ずっと見ていたくなるふたりでした。
この作品の良さは「心が近づく瞬間」を何度も積み重ねて描いているところ。うまく伝えられない不安や、相手を大切に思う気持ちを、言葉にしたり飲み込んだりしながら、それでも少しずつ夫婦になっていく。その過程が優しくて、見ているこちらまで幸せになりました。
静かに胸が満たされるラブストーリー
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正反対の深見(小関裕太)と芙美子(山本舞香)のカップルもいいスパイス!牽制し合うところから恋に落ちていく王道のときめきがあり、二組を見比べながら“恋と夫婦”の形を味わえるのも楽しい。
コスパやタイパが優先されがちな時代だからこそ、誰かと向き合って、言葉を重ねて、絆を紡ぐことの尊さが沁みる――そんな、静かに胸が満たされるラブストーリーでした。
<文/鈴木まこと>
【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201

