
町田啓太、菅生新樹、伊藤淳史、藤原丈一郎の4人が主演を務める連続ドラマW 池井戸潤スペシャル「かばん屋の相続」(WOWOW、全4話)。町田主演の第1話「十年目のクリスマス」が12月27日に放送・配信された。同話では、倒産の危機に陥りそうな会社をどうにか救おうと奮闘する銀行員・永島(町田)の姿に胸が熱くなった(以下、一部ネタバレを含みます)。
■池井戸潤原作、オムニバス形式で描かれる「連続ドラマW 池井戸潤スペシャル『かばん屋の相続』」
小説家・池井戸潤による短編小説をドラマ化し、4人の働く男たちによる倒産や借金、不正、争いなど、中小企業の融資にまつわる葛藤・苦悩を、1話完結のオムニバス形式で展開していく連続ドラマW 池井戸潤スペシャル「かばん屋の相続」。
第1話「十年目のクリスマス」で主演を務める町田は、舞台俳優としてデビューを果たし、大河ドラマ「青天を衝け」「光る君へ」などさまざまな作品へ出演する実力派。最近では出演したドラマ「グラスハート」(Netflix)における劇中バンド・TENBLANKのメンバーとして、バンドデビューしたことでも注目を集めた。第1話では東京第一銀行の融資課に務める永島慎司として、社会で懸命に生きる全ての人が抱える“葛藤や苦悩”、そして“ささやかな希望”をリアルに演じている。
また、永島の上司で東京第一銀行西大井支店の支店長・政岡秀次を甲本雅裕が、倒産間近となった電機メーカーの社長・神室彦一を上川隆也が、神室の娘・千春を永井理子が熱演。そのほか、柳ゆり菜、半田周平、入江甚儀ら個性豊かな面々が顔を揃える。

■経営難の会社を救うべく、永島は融資を試みるが…第1話「十年目のクリスマス」
クリスマスシーズンのある夜、東京第一銀行に勤める永島(町田)は、とある高級ブランド店で上質なスーツを身に着けた神室彦一(上川)の姿を目にし、思わず表情をこわばらせる。実は神室は、かつて永島が担当していた神室電機の社長だった。
10年前、東京第一銀行の強い後押しを受け、設備投資として5億円の融資を受けた神室。しかしその重圧や業績悪化により経営が立ち行かなくなり、神室は当時西大井支店の融資課にいた永島に3000万円の追加融資を依頼する。
さっそく永島は支店長の政岡(甲本)に掛け合うが、政岡は断固として拒否。逆に債権回収に動き出すよう指示を出す。そこで、永島は神室電機が担保として保有する土地の評価額が下がっていることに目を付け、“神室電機を倒産させれば銀行側に損失が生じる”と、政岡を説得しようと奔走。その結果、稟議にかけられることとなったが、最終的に本部から融資が却下されてしまう。
神室が絶望に暮れる中、さらに神室電機の会社は火災事故に見舞われ、結局会社は大きな借金を抱え倒産するのだった――。
かつての悲惨な出来事を振り返りつつ、すべてを失ったはずの神室が羽振りの良さそうな生活を送っていたことに疑問を抱いた永島。そこで密かに彼の身辺を探り始めたところ、永島は予想だにしない真実にたどり着く。


■対照的な二人…永島と政岡が見せる銀行員としての人間性
第1話「十年目のクリスマス」では、神室のために孤軍奮闘する永島のまっすぐな人柄が印象的だった。経営者に寄り添うことのできる誠実な銀行員として、神室の要望にどうにか応えようと奮闘する永島。
なかなか融資がおりず、諦めそうになる神室に対し「支店長を説得する材料はないですか?」「ほかに担保になるようなものは…?」などと、何とかして打開策を見出そうとするその姿には思わず胸が熱くなった。また、自己保身のことしか考えていない政岡も本作には欠かせない人物であり、この二人の対照的な人間性によって、永島の誠実さがより際立っていた。
さらに、守るべき従業員や家族がいる中で、立ち行かなくなっていく会社経営に苦悩する神室にも注目したい。「私はダメな経営者だ」「(娘が)結婚するまでは何とか頑張ろうと思っていたんだけどなぁ…」と悲しそうにつぶやく姿は非常に哀愁が漂っており、同情せずにはいられない。しかし、冒頭で映し出された羽振りの良さそうな神室の姿はまるで別人だったため、“本当は悪い人なのか、それとも良い人なのか…”と最後までわからなくなってしまう点も、見どころの一つと言えるだろう。
池井戸作品ならではの“人間ドラマ”と“サスペンス要素”が混在している「十年目のクリスマス」。1話完結でも十分見応えがある作品に仕上がっている。


