
日本の世界遺産を訪ね、余すところなくその魅力を伝えるBSフジの「日本遺産物語」。12月28日(日)夜9時から放送される「BSフジ開局25周年記念番組『日本遺産物語』〜世界遺産百舌鳥・古市古墳群〜古代ヤマト王権の謎を巡る旅」では、2019年7月に世界文化遺産に登録された百舌鳥・古市古墳群を堺市出身の黒谷友香が旅する。調査発掘の結果わかった歴史の一端と、“わからないまま”のロマン。調査に尽力する人々が持つ“古墳”への誠意が明らかになる。
■ハニワ部長とともに見る“身近な古墳群”
2019年に大阪府堺市の百舌鳥古墳群、藤井寺・羽曳野市の古市古墳群が世界文化遺産に登録された。日本トップ3の規模を誇る巨大前方後円墳が集うことになった同地区。だが同古墳群の多くはいまだ立ち入りを禁じており、発掘調査もほとんどおこなわれていない。
そんな謎多き古墳群を旅するのは、堺市出身の黒谷。彼女が番組冒頭に向かった堺市役所で、ハニワのかぶり物をした堺市長直轄特命部長のハニワ部長と合流する。お互いに面識があるようで「お久しぶりで~す」とハイタッチを交わして、「黒谷さんに会えてドキドキしてます。…土器だけに!」「いぇ~い!お約束!」と謎の土器ギャグを楽しんだ。
ハニワ部長は同市のPR活動をおこなっており、古墳についても知識が明るい人物なのだとか。市役所からも見える仁徳天皇陵古墳を「世界最大級のお墓」と紹介し、さらに2025年から始まった“気球サービス”をアピール。百舌鳥古墳群を上空から眺められる貴重な機会とあって、黒谷も興奮しながらさっそく気球に向かう。
道中でも、意外なほど身近に古墳のある光景に驚く黒谷。23の古墳からなる百舌鳥古墳群は、JR百舌鳥駅を出て間もなく全長53mの「収塚古墳」とまみえるほど町になじんでいる。
気球の乗り場である大仙公園に到着した黒谷。ところがここで、思わぬアクシデントに見舞われてしまう。
■墳墓を簡単に発掘調査しない理由
さらに仁徳天皇陵古墳に足を運んだ黒谷。同古墳は本格的な発掘がされておらず、いまだ謎が多い場所だ。堺市博物館の学芸員である橘さんの案内を受けていると、実は“同古墳の被葬者が誰かわかっていない”という驚きの事実が明らかに。
仁徳天皇が在位していたのは4世紀頃、同古墳の築造年代は5世紀中頃と考えられており、さらに同古墳内から埋葬者の人名なども発掘されてはいない。平安時代に書かれた「延喜式」や地域の伝承をもとに同古墳が仁徳天皇の墓所と考えられていたが、前述の時期的なズレや決定的な証拠がないことから確定はできていない…という状況らしい。
あまりにも多くの未知が眠っている同古墳群だが、橘さんは「発掘調査をしたい…というのはあまりないですね」と話す。発掘調査とは、すなわち古墳の一部を壊すこと。現代の技術では発掘の際に生まれる不可逆的な破壊を防ぐことはできないため、「古墳を壊さなくても、保存したままで中のことがわかるようになる」ような未来の技術に期待しているという。
知りたいという気持ちを胸のうちにしまって、歴史的遺物を守るべきという使命感を第一義に行動する。そうした人々の真摯な活動が繋いできた、1000年以上もの昔から残る遺産群。間違いなく歴史的な知見を得られる遺物であっても、古墳とはつまり墓だ。好奇心1つで蓋を開けることをしないその姿勢に、黒谷も強い共感を覚えていた。
ほかにも古墳をイメージした料理を出す地元の名物料理店を訪れたり、ハニワの謎を解明する鍵となる発見や副葬品として発掘された“ミニチュア鉄器”の意味を探っていく黒谷。その結果、現在の発見から“見えてきた歴史”と“いまだ謎に包まれた歴史ロマン”の両方が明らかになる。
黒谷とともに悠久の歴史を旅する「日本遺産物語」は、12月28日(日)夜9時より放送だ。

