夫・正行のスマホから、デリヘルを自宅に呼んでいた事実を知った、佳奈子。翌朝、正行を問い詰めると、正行は素直に白状しました。理由は「実母を亡くし、寂しかった」と言うもので…。
思い出が詰まったこの家で…
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ぼう然とスマホを握りしめたまま、私は立ち尽くしていた。この家は、私たち夫婦がたくさんの夢と希望を込めて建てた、大切な場所だ…。
間取りを決める時…壁紙を選ぶ時…。正行と「ここでマオと遊ぼうね」「将来はマオの部屋をこうしようね」って、楽しそうに話していた日々を思い出す。
そんな温かい思い出が詰まった家に、正行はデリヘルを呼んだ。汚されたような、裏切られたような、ぐちゃぐちゃの感情が、私の胸を締めつける。
「あれ、佳奈子…俺、寝ちゃった?」
「あ…うん。私、まだやることあるから、先に寝てて」
そう言うのが精いっぱいだった。寝室に行くと、ぐっすりと眠っている正行の顔が見えた。ベッドに入り、正行に触れないよう、そっと背を向けた。
私が旅行に行っている間に、このベッドで…別の女性と…?そんな想像が頭をよぎるたび、胸が張り裂けそうになった。
「なんで……」
最近は、週に1、2回、夫婦の営みだってあった。正行はいつも優しく、私を愛してくれていると思っていたのに…。
夫に真実を問い詰めた結果
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「本当は、私とするのがイヤだったのかな…」
どうしようもない不安と自己否定の波に、のみ込まれていく…。自分に魅力がないから?私が妻として、母親として至らない点があったから?頭の中を、自分を責める言葉がぐるぐるとかけめぐる。
翌朝、正行が起きてくる前に、私はスマホを元の場所に戻した。何事もなかったかのように振る舞おうとしたが、目は真っ赤だった。
「佳奈子…どうしたの?もしかして、体調悪い?」
朝食の準備をしながら、心配そうにたずねる正行…。私は言葉を詰まらせた。
「…昨日、あなたのスマホ、見ちゃった…」
その言葉に、正行は一瞬で顔色を変えた。私の中の最後の希望が打ち砕かれる。やはり、間違いではなかったのだ。
「え…それは…」
「もういい。全部、わかってる。どうして…どうして自宅に呼んだの?」
私の問いに、正行は言葉をうしない、その場に崩れ落ちるようにして座り込んだ。そして、堰を切ったように泣き始めた。
「ごめん…本当に、ごめん…!」
肩をふるわせ、子どものように泣き続ける正行…。私の怒りや悲しみも、彼のその姿を見たら、行き場をなくしてしまった。
「…理由を教えて。どうして、こんなことをしたの?」

