
初詣の楽しみといえば、おみくじ! ただ、運勢の序列とか、凶が出たときの扱い方がよくわからなくて、家族や友人と論争になることもありますよね。おみくじとは、単に吉凶を占う運試しではなく、神様から授かる助言です。だからこそ、扱い方にもマナーがあります。そこで、「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に、おみくじの正しい作法について教えてもらいました。








運勢は12種類。一般的には末吉より小吉の方が上
おみくじの運勢は、一般的には次のような12段階に分けられています。大吉>中吉>小吉>吉>半吉>末吉>末小吉>凶>小凶>半凶>末凶>大凶
ただし、この序列はどこでも同じとは限らず、神社やお寺によっては独自の順番が採用されている場合もあります。
気になる人は、引いた場所で確認してみるといいでしょう。
大吉でなくても、内容が前向きで励みになり、メッセージを日常の指針にしたい場合は、そのおみくじをお財布などに入れて持ち歩くと、日々のお守り代わりになり、書かれた言葉を行動の指針とすることもできます。
おみくじにちょっと気を付けたい内容が記載されていたり、願いや不安を神様に預けたい場合は、境内に結んで帰るのが昔からの習わしです。
「境内の木々によくない結果のおみくじを結ぶ風習は、木の生命力にあやかり、神様の力を借りて厄を祓ってもらうという意味があります。結ぶときはぜひ願いを込めましょう」と岩下先生。
ただし、近年は木を保護するため、専用のおみくじ掛けが用意されている寺社が多いので、結ぶ場所は必ず案内に従ってください。
持って帰ったおみくじは、年が変わったら神社に返納し、お焚き上げ行事で燃やしてもらうのが正しい処分の仕方です。
購入した神社が遠い場合は、近くにある別の神社に返納してもかまいません。
ゴミ箱に捨てなければいけないときは、白い紙に包み「ありがとうございました」と唱えて捨てるなど、感謝の気持ちを込めましょう。
同じ日の引き直しはNG。しばらく期間をあけて
良くない結果に出会うと「もう一度引き直したい…」と思うこともありますが、同じ日に何度もおみくじを引くのは適切ではありません。どうしても引き直したい場合は、しばらく期間をあけてからにしましょう。
そもそもおみくじは初詣のときだけでなく、寺社に参拝したらいつでも引いて良いものです。
焦らなくても、チャンスは何度でもあります。
最後に、忘れてはならない大事なマナーがあります。
それは、おみくじを引く前に、必ず拝殿・本堂へ参拝すること。
岩下先生も「神様や仏様にご挨拶もせずに、おみくじだけ引いてご縁を結ぼうとするのは失礼な行為です」と話します。
参拝をして、神様にご挨拶してからおみくじを手にする――この順番こそが正しい作法なのです。
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ワクワクしながら手にするおみくじですが、運勢が良くても悪くても、結果に振り回されるのはいいことではありません。大切なのは、その言葉をどう受け取り、この1年をどう過ごすかです。初詣のおみくじが、今年の福へとつながる第一歩になるといいですね。

教えてくれたのは…
▶岩下宣子先生
「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。
文=高梨奈々 イラスト=峯 鳥子

