
9月18日に放送された野球トークバラエティ「ダグアウト!!!」(毎週木曜夜10:00-11:00、BS10)。今回のゲストは、埼玉西武ライオンズ・東京ヤクルトスワローズで活躍し、引退後は西武の監督として21年ぶりのリーグ連覇を成し遂げた辻発彦が登場。MCの平井理央と堀口文宏とともに、監督としての哲学や印象に残る選手とのエピソードを語り尽くした。
■実はひょうきんな性格…現役時代とのギャップに堀口も驚き
MCの堀口は過去に西武応援番組で監督インタビューを担当していたが、当初は10分程度の予定が辻のトークで盛り上がって大幅に延びることも多かったという。辻は「選手を知ってもらいたいし、見えない部分があるから」と取材に臨む理由を明かし、その誠実な人柄がうかがえた。また、幼少期からお笑い好きでひょうきんな性格であったといい、現役時代の厳しい印象とのギャップに堀口は驚いていた。
さらに平井から「もう一度、監督のオファーがあったらやってみたいという気持ちはありますか?」と問われると、「もう無理です」と即答。その理由として「僕らの現役の頃と今とでは、野球が全然違ってきている。昭和の人間としてはやりづらいかな」と率直な胸の内を明かした。
■松坂大輔から郭泰源まで…辻が選ぶ“ベストローテ”
番組中盤のコーナー「俺のベストローテ」では、辻が印象に残る投手陣を選出。真っ先に挙げたのは2006年WBCで共に戦った松坂大輔だった。自己最速の155km/hを記録したデビュー戦や、イチローから3打席連続三振を奪ったエピソードを振り返り、「何よりもハートが強い選手だった」と絶賛。精神面の強さが大舞台での活躍を支えていたと語った。
一方で、3人目の先発投手として挙げた郭泰源については、松坂とは対照的に決してハートが強い選手ではなかった。8回まで完封していても「もう僕いい」と降板を申し出るなど、完投にこだわりを見せないタイプだったという。しかし、キレのある140km/h台のスライダーや伸びのあるストレートは一級品と評価し、投手としての技術力の高さを絶賛した。
さらに、エンゼルスへ移籍した菊池雄星も先発投手の5人目に挙げ、「メジャーでの活躍は嬉しいね」と率直な感想を披露。辻が西武の監督に就任したばかりの2017年、初勝利は菊池が先発で登板した試合だったこともあり印象に残っていると振り返った。
■時代を経ても変わらない辻流リーダー論の真髄
番組後半で印象的だったのは、辻の教え子への思いだ。たとえば、浅村栄斗をキャプテンに抜擢した際、当時は無口でリーダー向きとは言えなかったが「浅村が成長すれば、チームも成長する」と信じ抜擢。「背中で見せてとにかくやれ」とだけ伝え、あとは見守った。その結果、浅村は責任感を背負い成長し、西武を優勝へ導いた。この“あえて任せる”という手法に、辻のリーダー論が凝縮されている。
また、ソフトバンクへ移籍した山川穂高への眼差しも忘れられない。すでに指導者の立場ではなくなっても「違いに気づくとつい言葉が出てしまう」と語るように、教え子を気にかける姿はまさに親心そのもの。勝負の世界でありながら、人間としての成長を第一に考える辻は今もなお多くの選手から信頼され続けている。
「昔と今とでは、野球が全然違ってきている」と語る辻だが、時代が変わったとしても人間味あふれる指導者の存在は選手にとって心の支えであり、大きな意味を持つに違いない。西武をリーグ連覇に導いた名将・辻発彦の指導者としての矜持が感じられる放送回だった。

