
初詣で神社やお寺に行くと、つい手にしてしまうのがお守り。最近はカラフルでデザイン性豊かなものが増えてきましたが、「いくつも持っていいのかな」「違う神社のお守りを一緒に持つのは神様に失礼?」などと迷うことはありませんか。「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生に、お守りの扱い方について詳しく教えてもらいました。
お守りは複数の神社仏閣で受けてもOK
お守りはいくつ持っても問題ありません。違うご利益のお守りを一緒に持ってもいいですし、複数の寺社のものが混ざっていても大丈夫です。
「神様は徳の高い存在ですから、お互いに張り合って、ご利益が相殺されるのでは…なんて心配はいりませんよ」と岩下先生。
ただし、お守りやお札などは神様が宿るもの。
ご利益をいただきたいなら、まずは本堂・拝殿にお参りし、神様にご挨拶してから受け取って、丁寧に扱ってください。
さらに、これらはお寺や神社から贈られるものとして考えられているため、「買う」ではなく「受ける」と言いましょう。
お守りは、身につけてこそ力を発揮すると言われているので、持ち歩くのがおすすめです。
常に携帯するのが難しい場合は、引き出しの奥に入れっぱなしにするのではなく、よく目につく明るい場所の、なるべく高い位置に置くようにしてください。
お札は「家全体」の守り役
もうひとつ、初詣の際によくお受けするものに、お札があります。お札にもお守りと同じく、神様のご加護を受けるという意味がありますが、お守りとは少し役割が違います。
お札は家全体を守る存在として家に祀っておくものなのです。
神棚がある家はそこに祀るのが最適ですが、ない場合は南向きか東向きにして、目線より高いところに置きましょう。
「お札をお迎えしたら、毎日新しいお水をお供えしてください。日々のお供えをしないのは神様に失礼にあたるので、難しい場合は無理に購入しないほうがいいかもしれませんね」
邪気を払う破魔矢なら、南または東に向けて飾るだけでいいので、忙しい人でも気軽に取り入れられます。
年があらたまったら、お守りやお札は神社に返納し、お焚き上げをして浄めてもらうのが一般的です。
受けた神社が遠くて返納できないときは、最寄りの神社にお願いしてもかまいません。
ゴミとして捨てなければいけない場合は、白い紙に包み、「ありがとうございました」と唱えてから捨てるなど、感謝の気持ちを込めて丁寧に処分しましょう。
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お守りやお札は、特別なときだけ関わるものではなく、日常の中でそっと支えてくれる存在です。リビングの高い位置に飾ったり、バッグの決まったポケットに入れておいたりして、できる範囲で大切に扱いましょう。返納の時期には、散歩ついでにお焚き上げをしている近くの神社に立ち寄ってみれば、気持ちも整うので一石二鳥ですよ。

教えてくれたのは…
▶岩下宣子先生
「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。
文=高梨奈々

