
新年の参拝先は、氏神様のいる近所の神社に向かうのが定番です。でも最近は、「運気がより高まる」として、年ごとの吉方にある神社仏閣を訪れる「恵方参り」を取り入れる人も増えてきました。そこで、恵方参りをよりよい形で行うためのポイントを、「現代礼法研究所」主宰の岩下宣子先生にきいてみましょう。
2026年の恵方「南南東」の神社仏閣へGO
恵方参りは初詣の一種で、その年の福徳をつかさどる神様「歳徳神(としとくじん)」がいらっしゃる方角=恵方にお参りする行事です。自宅を基準に、恵方に位置する神社や寺院を選んで参拝します。
恵方は毎年変動しますが、その決め手となるのは十干(じっかん)です。
十干は十二支と組み合わせて暦や方角、時刻などを表すもので、中国から伝わりました。
2026年は「丙(ひのえ)」の年にあたるため、恵方は「南南東」です。
節分に恵方巻きを食べる際に向く方角も同じなので、覚えておくといいかもしれませんね。
さらに、恵方参りをする際は「自宅から半径750m以上離れた、恵方の延長線上」にある神社仏閣に行くと、縁起がよいとされています。
ただし、お墓がある寺院や稲荷神社は、神様とご縁を結ぶための参拝には適さないため、避けるほうがいいそうです。
「初詣は回数に決まりがありませんから、まずは氏神様や恵方の神社に参拝し、そのうえで好きな神社に足を運ぶといいでしょう」と岩下先生は話します。
初詣はお正月にのみ行うものですが、恵方参りは年の初めだけとは限りません。
岩下先生によると、立春・春分・夏至・秋分・冬至といった季節の節目にも、参拝すると運気が高まるそうです。
年始に時間がとれない方は、こうした時期に恵方へ出向いてみるのもおすすめです。
恵方参りの服装に決まりはありませんが、神様にご挨拶にうかがうのですから、特別な人と会う時のように、清潔で少しきちんとした装いを選ぶほうが気持ちよく参拝できるでしょう。
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普段は近所の神社に初詣へ行く、という方でも、恵方にある神社仏閣に足を運べば、また違った新年の雰囲気が感じられるかもしれません。季節の節目ごとに訪れれば、気持ちの切り替えにもぴったりです。今年は節分に恵方巻きを食べるだけでなく、立春に恵方参りもしてみては?

教えてくれたのは…
▶岩下宣子先生
「現代礼法研究所」主宰。NPOマナー教育サポート協会理事・相談役。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会の故・内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学ぶ。現在はマナーデザイナーとして、企業、学校、公共団体などで指導や研修、講演会を行う。『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(中経の文庫)、『相手のことを思いやるちょっとした心くばり』(三笠書房)など著書多数。近著に『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)。
文=高梨奈々

