脳卒中を発症した場合、一分一秒を争います。もし身近な人が突然倒れた場合、すぐに救急車を呼び、倒れた時間や既往症、服用中の薬の情報を伝えることが重要です。また、初期症状を理解し迅速に対応することが命を救うカギとなります。この記事では、脳卒中の対処法について「関東脳神経外科病院」の清水先生に解説していただきました。

監修医師:
清水 暢裕(関東脳神経外科病院)
岩手医科大学卒業。その後、群馬大学医学部附属病院脳神経外科入局、関東脳神経外科病院、佐久総合病院勤務。2021年、埼玉県熊谷市に位置する「関東脳神経外科病院」の理事長に就任。日本脳神経外科学会専門医。山梨大学医学部臨床教授。
編集部
身近な人が突然倒れて脳卒中が疑われる場合、どのように対処すればいいのでしょうか?
清水先生
一刻を争う状態なので、すぐに救急車を呼ぶことが大切です。また、救急隊員が到着したら「いつまで普通の状態であったか」ということを詳細に伝えましょう。もし倒れた瞬間を見ていなかった場合には、「知る限り、最後に元気だった時間」を伝えましょう。その時間によって治療法が変わるので、これらの情報はとても重要です。
編集部
そのほか、伝えることはありますか?
清水先生
既往症や現在服用している薬があれば、その内容も伝えてください。できればお薬手帳や、薬の現物を見せるといいでしょう。
編集部
救急隊員が来る前にやるべきことはありますか?
清水先生
倒れたときに体や頭を強く打っていないかを確認します。また、ネクタイやベルトなどを緩め、呼吸を楽にしてください。それから、水平に寝かせ、毛布などをかけて体が冷えないようにしましょう。
編集部
そのほかにも、気をつけることがあれば教えてください。
清水先生
風呂場やトイレなどで倒れた場合には、救急隊員が搬送しやすい場所に運び、安静にしてください。もし、家族がすぐ病院へ連れていける場合には、車で搬送しても構いません。ただし、本人が運転するのは危険なのでやめましょう。
編集部
どのような姿勢で寝かせればいいのですか?
清水先生
嘔吐した場合には、吐いたもので窒息することがないよう「回復体位」にします。回復体位は、横向けにして、上側の手を顎から顔の下に入れ、下顎を軽く前に突き出した姿勢のことです。これをすることで気道が確保され、呼吸が楽になります。体が後ろに倒れないよう、上側の足を前に出し、膝を90度くらい曲げておきましょう。
編集部
あらためて、どのように脳卒中と向き合えばいいですか?
清水先生
脳卒中の治療は、時間との勝負。万が一発症した場合、できるだけすぐに治療を開始することが重要です。そのために重要なのは、脳卒中の初期症状について理解し、脳卒中を疑うのに必要な知識を身につけることです。いざというときの対応なども覚えておくと、身の回りの人が倒れたときに役立つでしょう。
※この記事はメディカルドックにて【「脳卒中」の初期症状・原因はご存じですか? 脳卒中の疑いで倒れたときの正しい対処法も医師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
あわせて読みたい
- 「小脳出血」の症状・原因・なりやすい人の特徴はご存知ですか?医師が徹底解説!
──────────── - 「大動脈解離を予防」する可能性の高い食べ物はご存知ですか?医師が徹底解説!
──────────── - “高血圧”の治療が上手くいかない原因をご存じですか? 「二次性高血圧」のせいかも【医師解説】
────────────

