
コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、COMIC OGYAAA!!で連載中の、日暮ずむさんが描く『神の児』より第1話をピックアップ。
日暮ずむさんが11月30日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、5,500件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、日暮ずむさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
■“ロエ”になった“神の児”

世界で一番高い塔にいる“神”は、地上の生き物数種類を自在にかけあわせ、“神の児”と呼ばれる怪物を創り出している。地上に戻された“神の児”たちは、人々の信仰の対象となっており、何をしても全肯定される存在であった。
主人公のシダは、“神の児”の研究者の一人。ある時、村にいる“神の児”について住民たちから話を聞く。話によると、森で野盗に襲われたサミドラという人物が、息子・ロエを殺され、自身も目をつぶされてしまったと言う。息子は死んでしまったものの、現在は“神の児”と一緒に暮らしており、亡くなった息子のように「ロエ」と呼んでいるとのことだった。
大きな怪物の姿をした“ロエ”は、サミドラのことを「おとうさん」と呼び、傍に寄り添い生活していた。しかし、ある時サミドラが自死してしまう。シダがサミドラの亡骸の前にたたずむ“ロエ”と話をすると、
「ロエでいたかった」「ロエじゃないって知られたくなかった」
とこれまでの経緯を話し始めるのだった…。
作品を読んだ読者からは、「とっても残酷で美しい」「おぞましく綺麗な物語でした」「切なくて胸がギュッとしてしまう…」「涙腺しんだ」など、反響の声が多く寄せられている。
■作者・日暮ずむさん「生活の一部分になれるような、人生の中の一粒になれるようなお話を描いてゆきたい」

――『神の児』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
はじめにこの世界観で短編を考えたのは学生時代でした。
とにかく『人』と『人外』の共存する世界観が好きで、その中でも『人を喰う怪物』や『宗教』と『科学』の関わるものを形にしたくてお話を考えたのがはじまりだと思います。
実は、最初に考えた短編は『神官と神の児』が主役でした。プロットまでしか作らなかったのですが、そのうち形にする機会があったらいいなと思っております。
――本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
関係性や感情の表現でしょうか……!
「理解できるけど認められない」、「寄り添わないけど尊重したい」、「絶対的な救いはないけれど確かにそこに親愛があった」、そういう細かな機微が好きなので……人と神の児のものでも、人間同士のものでも、そういったところを楽しんでいただけたら嬉しいです。
――第1話のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
ロエ(じゃないロエ)がシダに、サミドラとの出会いを話すシーンかもしれません。
『息子が生きていたと思い込むサミドラ』を思い通りに表現できたというのもありますし、その後の語りに続く感情を簡潔にセリフにできたので気に入っています。
「ぼくはおとうさんのロエになった」「なりたいとおもったから、なったの」
――2025年11月に本作のコミックス第1巻が発売されましたが、コミックスの見どころをお教いただけますか?
本編を既にご覧いただいているみなさまにも楽しんでいただきたくて、細かい書き下ろしを色々と入れてみました。
お話とお話のあいだに神の児の資料を書いてみたり、カバー裏にちょっぴりほのぼのした絵を入れてみたり、神の児の材料になった人間のお話を描いてみたりしています。是非覗いてみていただけたらうれしいです!
――日暮ずむさんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
具体的な未来図をえがくのはなかなか難しいのですが、みなさまに時折読み返していただけるようなものが作れたらそれがうれしいなと……。
あ!でも、自分がかわいいマスコットなどを集めるのが好きなので……おもちゃやぬいぐるみになって、長くお傍に置いていただけるような怪物を描けたらいいなと……そのような夢はありますね……。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつもご覧くださって、本当にありがとうございます。
少しページをめくるというだけでも気が向いたり向かなかったり、お話を読む体力がなかったり気力がなかったり……色々あるとおもうので(わたしはあります!)、拙作にお時間をいただけること自体がとってもとっても光栄です。
お言葉をしたためてくださる方もいらっしゃって、そのたびによろこびを噛みしめつつ拝読しております。
願わくばみなさまの生活の一部分になれるような、人生の中の一粒になれるようなお話を描いてゆきたいです。
これからもどうかよろしくお願いいたします。

