「リアルで考えさせられる」小4女子が上級生から受けた性被害を描く衝撃の実話。作者が語る性教育の“現在”とは

「リアルで考えさせられる」小4女子が上級生から受けた性被害を描く衝撃の実話。作者が語る性教育の“現在”とは


漫画家・ちくまサラさんが実体験を元に子どもの性被害を描いた『10歳で性被害にあいました 誰にも相談できない』。加害者も被害者も小学生という、どの学校でも起こり得る問題を扱い、被害にあった子どもの視点だけでなく、親や教師といった周囲の大人の立場からも描いている。読者からは「リアルで考えさせられる」「学びに繋がる部分も多い」などのコメントが寄せられ、性被害について考えるきっかけにつながっているようだ。今回は、子どもたちが自分を守るために必要な知識を身につけられる“性教育などの取り組み”について、著者に話を聞いた。



■エスカレートする上級生からの性被害。自分を守るためにとるべき行動とは

初めて放送委員会に入ることになった小学4年生・餡藤なるみ。憧れていた放送委員会にワクワクしていたが、同じ委員会の6年生・討田ゲンシがスカートめくりや卑猥な発言を繰り返し、性的な嫌がらせをすることが気になるようになっていく。

ゲンシの行為はどんどんエスカレート。しかし、学校でも家でも性教育を受けていなかったなるみは、先生や親、友達にもどう相談すればよいのか分からず悩んでいた。

そんなある日、とうとう二人きりの放送室で事件が起こるーー。



■「一人でも多くの人に性教育の大切さが伝われば」著者の思い

スカートをめくったり、下品なことを言ったりーー。作中では、なるみが学校でゲンシの行動に悩まされる姿が描かれる。ゲンシに対するなるみの心情を作者のちくまサラさんに聞くと、「『されたくない。けど、どうしたらいいか分からない』『抵抗したらどうなるか分からないから怖い』『誰に何て言って相談したらいいか分からない』『相談するのが恥ずかしいし、言ったらどうなるか分からないから不安』などです。『嫌だ』という感覚はしっかりとあるものの、分からないことだらけで、『嫌だ』から先に進む知識がないんです」と教えてくれた。

『嫌だ』と思ってもどう行動していいかわからない子どもは多い。現在、小学生・未就学児等を対象にした「プライベートゾーン等の啓発キャンペーン」など、子供たちに自分を守るための知識を持ってもらう活動が行われ始めた。一方、本作に出てくる、ゲンシの親が“スカートめくりとかのぞきとか 私が子供の頃は普通でしたよ?”と言うシーンや、男性教師の態度など、知識のない大人にも必要な教育ではと考えさせられる。

現在行われ始めている子供たちへの性教育について、ちくまさんは「いろいろな活動やキャンペーンが広がっているのはとても良いことだと思うのですが、長い目で見たらまだまだスタートラインでしかありません」と話し、「興味のある人だけが情報を集め、興味のない大人は昔の価値観のまま止まってしまっている」という状況を問題視しているという。たとえば、“最近はエロ規制が厳しいだけ”と受け取ってしまったり、“自分は何も学ばなくても大人になれたのだから性教育を変える必要はない”と考えてしまう大人が少なくない。

そのために「一人でも多くの人が価値観をアップデートし、周りに広めていくしかないと思います。私も、私の作品を読んでいただくことで少しでも多くの人に性教育を教えることの大切さが伝わればいいなと思っています」と今後への思いを語った。子どもも大人も直面しうる葛藤を丁寧に描き出し、性教育にまつわる課題を自分ごととして捉えるきっかけを与えてくれる本作。ぜひ読んで感じ取ってほしい。



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