「公園に行く」だけでも達成できたらいい一日になる
――その考え方は、ご自身が受けてきた家庭での教育の影響もありますか?
どうだろう…私は、親から「やりなさい」と言われた記憶がほとんどないんですよね。父はまったく言わなかったし、母は中学受験には伴走してくれたけれど、勉強時間などをルールで縛るタイプではなかった。だから基本的に自己管理でした。
でも私は走り回っているだけで毎日楽しいという、精神年齢がまわりに比べて低い子で、宿題も適当に手を抜いていて…よく大学に受かったな、と我ながら思います(笑)。
――大学受験は自己管理できないと、かなり厳しいですよね。
私は極端で「適当にやる」か「とことんやる」かのどちらかなんです。大学受験は、得意な数学と物理だけは満点を取るくらいの気概でやっていました。それでなんとかなったのかなと。
人生全体で見ると、与えられたことに対して、勉強や訓練でなんとかできることが多かったと感じているんです。でも子育ては、そうはいきません。初めて、未知のことに手探りで挑戦して苦労している。そういった意味では、子どもの頃から、もっといろいろなことに体当たりで挑戦すればよかったと感じているんです。自分はしてこなかった主体的な挑戦を、自分の子どもにはしてほしいと思っています。
――日々のなかで小さい挑戦を積み重ねてほしいと。
はい、自分で考えてほしいなと。宿題もやらなきゃやらないで…まあ、やってほしいんですけど(笑)。でもやらない期間があったら、それをきっかけにやる意味を考えるかもしれないじゃないですか。
――そこから自主的に始めるかもしれませんよね。
親がお膳立てして80点とれたところで、本人の身になっていなければ意味がない。サポートと自主性を活かすことのバランスを意識しています。

――「これは私らしい育児だ」と感じることはありますか。
いやあ、育児はいまだにわからないことだらけだし、自信がないです(笑)。でもわからないなりに、なんでもいいから一つやる、ということを大事にしています。例えば、「行ったことのない公園に行く」といった小さな目標でも、達成すると充実感があります。
「できた」「楽しかった」「私も運動になった」とプラスの気持ちが湧いてくる。たくさん遊んで帰ってくるのが遅くなっても、「鍋にしたら早く食べられそう」と思いついて、ぱぱっと夕食も終えられた、とか。
――公園に遊びに行って、ごはんも食べたら、もう完璧な1日ですね!
忙しい中でも「こうするとうまくいく」という発見があるとうれしいですよね。
寝起きは手を動かすことでやる気のスイッチを押す
――しんどいときのリセット方法などはありますか?
私は、とにかく睡眠時間が足りないとダメなんです。寝られさえすれば、リセットされる。だから寝かしつけをして、そのまま一緒に寝てしまうことも多いですね。
――寝起きはいい方ですか?
いや、朝はやっぱり「もっと寝ていたい」と思います(笑)。でも5時に起きて、溜まっていたタスクを処理できると「起きてよかった!」と心から思う。だから、その感覚を思い出してなんとか起きています。
起きる瞬間が一番つらいけれど、少し動き出すと体が目覚めてくる。とりあえず洗濯物を畳んでみるとか、手を動かすことでだんだん調子が出てくるんです。頭が疲れてぼーっとしている時も、眼の前のゴミを拾うとか、何かやってみる。そうすると、やる気が出てきます。なんでもそうなんですよね。
――はずみがついて回りだすんですね。おいしいものを食べるのがお好きだと伺ったのですが、食の楽しみ方にも変化はありましたか?
食にかける時間は減りましたね。とにかく子どもに食べさせることが最優先で、自分は後回し。朝のフルーツも、つい自分の分を少なくして子にあげてしまいます。でも、私もしっかり食べて元気でいないとな、と思います。自分も大切にしないといけませんよね。
その分、たまにおいしいものが食べられると、喜びが倍増します。先日も地方ロケの後に、おいしいお魚をいただいて、ものすごくテンションが上がりました(笑)。
――暮らしのなかで大事にしていることはありますか?

子どもはどんどん大きくなるので、「今この瞬間がかけがえないものだ」と思うときは、しっかり味わうようにしています。
例えば、寝る前の時間。寝なくちゃいけない時間なんですけど、寝室にみんなで集まると楽しくなっちゃうんです。
子どもに「ママ押して」って言われて、お尻で押し合いっこしたりして(笑)。そういう、子どもと笑っている時間は、私自身もすべてのストレスがふっと消えて、「楽しい」という感覚しかなくなる。そんな時は、たとえ「寝なくちゃいけない」とわかっていても、この時間を全力で楽しむようにします。5分くらい寝る時間が遅くなっても問題ないですしね。
あとは、日々の暮らしの中で、子どもの“おもしろポイント”がけっこうあるので、そこは見逃さないよう心がけています。
――例えばどんなことですか?
昨日は、長男から「水はリットルとかミリリットルで表せるけど、風は?」と聞かれて。さらに「火はどうなんだろう」と言い出したんです。子どもの視点で、自然のワンダーをこうやって捉えているのか、と感心しました。
こういうとき、忙しいと「後にして」と言ってしまいがちですが、少し立ち止まって「すごいねえ!知らなかった!それ、ママにも教えてくれる?」と少し大げさなくらい反応するようにしています。そうやって、興味や思考の芽を育てていけたらなと。
