関節リウマチと「自分らしい暮らし」を続けるために知っておきたい『在宅医療』の活用法【医師解説】

関節リウマチと「自分らしい暮らし」を続けるために知っておきたい『在宅医療』の活用法【医師解説】

「手指のこわばりで家事がつらい」「趣味の園芸が思うようにできない」。関節リウマチの症状は、数値では表せない日常生活の困りごととしても現れます。じつは今、病院での治療に加え、自宅で受けられる「在宅医療」を活用することで、患者さんの生活スタイルに合わせた治療とサポートが可能になっています。生物学的製剤の注射や点滴を在宅で受けながら、自分らしい生活を続けるための新しい選択肢を内田先生(医療法人社団貞栄会)に解説してもらいました。

≫【1分動画でわかる】関節リウマチと「自分らしい暮らし」を続けるために知っておきたい『在宅医療』の活用法【医師解説】 内田 貞輔

監修医師:
内田 貞輔(医療法人社団貞栄会)

2015年、32歳の若さで静岡市に静岡ホームクリニックを開院。翌年、医療法人社団貞栄会を設立し理事長に就任後、東京・千葉・名古屋・横浜にもクリニックを開設。著書に、『家族のための在宅医療読本』など。医学博士。日本在宅医療連合学会評議員・在宅専門医・指導医、日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医、日本リウマチ学会リウマチ専門医・指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本緩和医療学会緩和医療認定医、日本抗加齢医学会専門医、難病指定医師、肢体不自由指定医師。

関節リウマチと在宅医療、まずはどうする?

関節リウマチと在宅医療、まずはどうする?

編集部

関節リウマチとはどのような病気ですか?

内田先生

関節リウマチは、自分の免疫が誤って自分自身の関節を攻撃し、炎症を引き起こす病気です。まだ原因は明らかになっていませんが、放置すると関節が壊れて動かせなくなり、日常生活に大きな支障をきたします。完治は難しいとされているものの、適切な治療によって症状を抑え、進行を防ぐことができます。

編集部

そもそも、関節リウマチで在宅医療を受けられると知りませんでした。

内田先生

そういう人は多いと感じます。痛みをギリギリまで我慢しながら通院を続けている患者さんも少なくありません。とくに手指の痛みやこわばり、動かしにくさを我慢して、歩行が困難になってから初めて在宅医療を考えるようになる人が多いのが現状です。

編集部

在宅医療は、高齢者が受けるイメージがあります。

内田先生

在宅医療は主に介護保険で提供されていて、介護保険は基本的に65歳になってからの認定となるので、そういったイメージがあるのだと思います。しかし、関節リウマチなど特定の疾患がある場合、65歳未満でも介護保険を申請することができるのです。

編集部

そうなのですね。

内田先生

関節リウマチの患者さんは65歳未満の人も少なくありませんが、その年齢で介護保険を利用している人はまだ少ないと感じています。しかし、関節の症状が進めば日常生活に影響が出やすいため、早めに介護保険を導入することをおすすめします。訪問看護やヘルパーによる支援を組み合わせることで、家事や身の回りの動作が無理なく続けられ、生活の質を保つことができます。

関節リウマチ治療、病院と在宅の両方でおこなえる?

関節リウマチ治療、病院と在宅の両方でおこなえる?

編集部

関節リウマチの治療について教えてください。

内田先生

関節リウマチの治療はこの十数年で大きく進歩しました。従来用いられているメトトレキサートに加え、生物学的製剤や分子標的薬といった新しい薬が登場し、関節の破壊を防ぎやすくなっています。その結果、以前は寝たきりになることも多かった患者さんでも、今では日常生活を続けられるようになってきています。

編集部

在宅医療を導入した場合、病院での治療はどうなるのですか?

内田先生

病院での治療も継続できます。病院の医師と在宅医療の両方が関わる「2人主治医制」を取り、病院でも検査や治療を受けつつ、在宅医療でより日常生活に密着した診療・治療を受けられるのです。両者が連携することで、治療の幅が広がり、より安心して生活を続けられるようになります。

編集部

実際、在宅医療ではどのような治療が可能なのでしょうか?

内田先生

ケースバイケースではありますが、基本的に、病院とほとんど変わらない治療を受けられます。飲み薬に加え、生物学的製剤の注射や点滴も在宅でおこなえるケースがあります。さらに、関節リウマチ治療は感染症などのリスクも高くなりますが、通院治療だけだと、感染に気づくのが遅くなったり、通院が負担となって少しの熱であれば我慢して様子を見てしまったりする患者さんも少なくありません。在宅医療を導入していれば、医師だけでなく看護師やリハビリテーションスタッフ、介護職が頻回に関わるため、感染症などの合併症にも早期に気づき、速やかに対応できます。

配信元: Medical DOC

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