オスラー病は指定難病227番に指定されていながら、医師や病院関係者の知名度が著しく低いとされる難病です。
欧米では1万人に1人、日本では7,000〜8,000人に1人程度が発病すると報告されています。現代ではもう少し少ないとされ、日本には約1万人の患者がいるともいわれています。
オスラー病は血管奇形を発症することで、様々な臓器から出血するのが特徴です。けがなどによる通常出血と区別するためにも、きちんと知識をつけておくといいでしょう。
今回の記事では、オスラー病の検査法・治療法などを解説していきます。
※この記事はメディカルドックにて『「オスラー病」とは?症状・原因・何科を受診するべきか解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
オスラー病の検査や治療

オスラー病が疑われる場合、何科を受診すれば良いですか?
オスラー病では、遺伝子的な観点から根治的治療をすることはできず、また悪性の病原体が存在するわけでもありません。あくまで血管異常の弊害として様々な症状が起こります。そのため、鼻出血であれば耳鼻咽喉科、消化器官等の出血であれば消化器内科、肺出血なら呼吸器内科など、症状に合わせて受診先を選ぶ必要があります。
まれに「オスラー病外来」を備えているような大病院も(例:北海道大学病院)ありますが、さほど数は多くありません。知識のある医師であれば、病状やMRIの結果などから判断・対処ができるのがオスラー病です。
基本的には、出血を伴うような症状をみとめた場合は、病変部位に合わせて速やかに最寄りの医院やかかりつけ医を受診するようにしましょう。
検査方法を教えてください。
オスラー病には、症状や検査結果に基づき自己チェックを行える項目が存在します。
鼻出血(自然かつ反復性であること)
皮膚粘膜の毛細血管拡張症(口唇、口腔、手指、鼻など)
内臓の血管病変(胃腸の毛細血管拡張、肺・脳・肝臓・脊髄などの動静脈奇形)
家族歴(親子兄弟にオスラー病と診断された人がいる)
上記4項目のうち、3つ以上当てはまれば確実・2つならば疑いの余地あり・1つならば可能性は低いと判断します。成人患者に関しては、病院での検査と上記の項目チェックにより、ほぼ確実に診断をすることが可能です。
ただし子どもの場合は病状や身体構造が安定化していないこともあり、上記だけでは判断できない場合もあります。また各部位(臓器など)の出血に関しては、レントゲンやMRI検査でほぼ確実に患部を特定・治療開始ができるといわれます。
治療方法が知りたいです。
オスラー病は遺伝的な観点から根治的治療を行うことはできず、異常性の発現した血管に対して治療を行うことで病状に対処していきます。鼻出血では通常通りの止血処理を行う場合も多いです。重篤な場合では止血が間に合わず貧血などを起こす可能性があるため、特殊な薬剤を使った凝固療法・レーザー治療・粘膜置換法・鼻腔閉鎖術などが行われることもあります。
肺の場合などでは異常部位の大きさに合わせた血管塞栓術が一般的です。特に肺の動静脈瘻では細菌感染などによる合併症の危険があるため、抗生物質などを合わせて処方します。脳の異常血管では外科的治療・血管内治療・放射線治療などを組み合わせて、状況に応じた処置がとられます。消化管の異常血管も多く見られる症状のひとつですが、内視鏡とレーザーを組み合わせて体に負担の少ない手段を取ることが一般的です。
編集部まとめ

今回は難病に指定されているオスラー病について、症状や注意点など様々な視点からまとめて解説してきました。
「出血を頻発する難病」と聞くとなかなか恐ろしいものですが、早期の発見と適切な治療で通常通りの生活が送れる病気ということで、安心された方もいるのではないでしょうか。
遺伝性の疾患は根本治療や撲滅が難しく、難病と呼ばれて多くの医療関係者を悩ませています。しかし正しく対応することで症状が治まるため、過剰に恐れる必要はありません。
ぜひ病気に関する正しい知識を身につけ、今後の生活に生かしていってください。
参考文献
オスラー病(指定難病227)|難病情報センター
オスラー病|オスラー病患者会
オスラー病|Medical Note

