消化器官に悪性腫瘍ができる病気の中でも非常にまれなのが「GIST(ジスト:Gastrointestinal Stromal Tumor)」です。
消化器官にできる「肉腫」のひとつで、がんに比べて発生頻度はかなり低い病気です。
GISTはしばしば胃がん・大腸がん・小腸がんなどの消化器官系のがんと混同されがちですが、がんとは違う病気と分類されています。
ここではGISTと消化器系のがんは何が違うのか、予後や予防法などを詳しく紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「GIST」とは?がんとの違い・症状・治療法も併せて解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
GISTの予後と予防方法

GISTは再発しますか?
GIST再発の可能性はあります。現在のところ患者さん全体の推定25%~33%ほどです。他のがんに比べて再発可能性は低く、最初に腫瘍を切除すればほとんどが再発しません。
ただし、切除した腫瘍が大きければ大きいほど再発可能性が高いです。また、再発は3年以内が多く、腫瘍のあった場所に再発したり肝臓へ転移したりする場合もあります。
腫瘍が再発した場合は再び手術を行い、腫瘍の切除を試みます。ただし、再発時の手術効果はそこまで高くなく、化学療法によって身体全体の発病を抑えることがほとんどです。
再発を予防する方法はありますか?
手術後、再発予防のため投薬治療を行う場合があります。主に使用されるのは「イマチニブ」か「アジュバント」という薬です。
これを服用すると再発を予防するだけでなく患者さんの予後を長くする効果も期待されているため、ほとんどのGIST患者さんが服用を薦められています。
GISTの予防方法を教えてください。
GISTには予防方法がありません。遺伝もほとんどしないため、タンパク質が異常増殖することになる理由もわかっていません。
しかし、再発予防策はあり、ほとんどは投薬治療となります。
最後に、読者へメッセージがあればお願いします。
GIST(英語表記:Gastrointestinal Stromal Tumor)は、胃や小腸など消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種であると認識されています。
本疾患の発症率は年間に10万人に対して1人から2人くらいと稀少な腫瘍です。男女間で発症率には差がなく、中高年に好発し、胃に最も多く認められる疾患です。
消化管粘膜下にできる腫瘍のみならず、良性の平滑筋腫、神経鞘腫や悪性平滑筋肉腫などもGISTに含まれます。
編集部まとめ

GISTは非常にまれな悪性腫瘍です。がんとは違って消化器官の深いところにできるため、発見が遅れる場合があります。
自覚症状も他の病気と同じ症状が多いため、気がついたときには腫瘍が成長していたことも多い厄介な病気です。
また、その特徴から胃がんや大腸がんなどの消化器系のがんと診断されてしまうことがあります。
切除手術後の組織検査でわかる場合もあるため、最初はGISTと診断されないことも多いです。
ただし、がんとは違い周辺組織のがん化が少ないのが特徴です。手術は部分切除など比較的軽いものが多くなります。
再発可能性は通常の消化器官系のがんよりも少ないですが、再発予防として化学療法が行われるのが一般的です。
発生部位は胃がんなど一般的な消化器官系のがんと同じ場合がほとんどです。検診などで見つかる場合もあるので、がん検診は定期的に受けるようにしましょう。
参考文献
GIST(消化管間質腫瘍)(じすと(しょうかかんかんしつしゅよう))|国立がん研究センター希少がんセンター
なぜGIST(消化管間質腫瘍)になるの?|GIST(消化管間質腫瘍)を学ぶ

