「コーヒーが肝臓に良い」と聞いたことはありますか? その理由は、実はカフェインではなく、コーヒーに含まれる特定の成分にあります。今回、佐藤将人先生にお話を聞き、コーヒーが肝臓に与える良い影響の秘密について詳しく解説してもらいました。また、緑茶や紅茶との違いにも触れ、肝臓を健康に保つためのコーヒーの飲み方についても教えてもらいます。

監修医師:
佐藤 将人(SUGAR LLC)
「健康的に豊かに生きる」を理念に人的資本経営コンサルティングを手がける企業SUGAR代表医師。宮城県仙台市を拠点に、社員の心身のメンテナンスや企業の組織運営などの経営を支援する事業を展開。医学の知見を生かし肉体改造してシックスパックを達成したり、精神心理的知見からメタ認知的活動に従事。東北大学医学部医学科卒業、日本医師会認定産業医、中小企業診断士、労働衛生コンサルタント(保健衛生)臨床心理士、JSPO公認スポーツドクター、日本肝臓学会専門医、日本外科学会専門医、元仙台市食育推進会議委員、ヴィーガン。
編集部
ところで、なぜコーヒーは肝臓に良いのでしょうか?
佐藤先生
どうしてコーヒーが肝臓に良いのかという理由については、まだはっきりとはわかっていません。しかし、現時点では、コーヒーに含まれるポリフェノールの一種である「クロロゲン」という抗酸化物質が肝臓の良い影響を与えると言われています。(※1・2)
編集部
コーヒーに含まれるクロロゲンという物質が肝臓に良いのですね。コーヒーといえばカフェインが浮かんできますが、カフェインが肝臓に良いわけではないのですか?
佐藤先生
コーヒーに含まれるカフェインが肝臓に良い影響を与えているかどうかは不明です。もしかしたらコーヒーに含まれるカフェインも肝臓に良い成分として作用している可能性もあるかもしれませんが、現時点でカフェインと肝臓との関係についての結論は出ていません。
編集部
コーヒー以外に、緑茶や紅茶などの飲み物も肝臓に良いのでしょうか?
佐藤先生
いいえ。残念ながら、緑茶や紅茶は肝臓に良い飲み物というわけではありません。実際に「The Singapore Chinese Health Study」という大規模な研究では、「紅茶や緑茶、そのほかのソフトドリンクなどを飲んでも肝機能が良くなったり悪くなったりしなかった」と報告されています。(※4)そのため、肝臓に良い飲み物を摂取したい人は、お茶類よりもコーヒーを習慣的に飲むことをおすすめします。
参考文献:
※1. Impact of coffee on liver diseases: a systematic review
Impact of coffee on liver diseases: a systematic review – PubMed (nih.gov)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24102757/
※2. Coffee consumption and risk of liver cancer: a meta-analysis
Coffee consumption and risk of liver cancer: a meta-analysis – PubMed (nih.gov)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17484871/
※4. The National University of Singapore「The Singapore Chinese Health Study」
Singapore Chinese Health Study (SCHS) – Saw Swee Hock School of Public Health (nus.edu.sg)
https://sph.nus.edu.sg/research/cohort-schs/
※この記事はメディカルドックにて【「コーヒーは肝臓に悪い飲み物」これって実際どうなの? 肝臓専門医が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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