「なぁ、裏番さんよ」好きな男子に“適当な嘘”をついたら、まさかの図星で相手が震え上がった件【作者に聞く】

「なぁ、裏番さんよ」好きな男子に“適当な嘘”をついたら、まさかの図星で相手が震え上がった件【作者に聞く】

委員長のことが好きで、ただ話がしたかっただけの不良女子
委員長のことが好きで、ただ話がしたかっただけの不良女子 / 墨染清(@sumizomesei)

品行方正で人望も厚い学級委員長・海老原。そんな彼に対し、転校してきたばかりの不良少女が突然「なぁ?裏番さんよ」と因縁をふっかけた。教室がざわつく中、海老原は「裏番って一体…?」と困惑するが、少女は不敵な笑みを浮かべて「あたしには全部お見通しだ」と譲らない。一見すると学校の覇権を争う緊迫したシーンだが、実はこの2人の間には、とてつもない認識のズレが生じていたのだ。
殻の向こうのナイショの話_p01
殻の向こうのナイショの話_p01 / 墨染清(@sumizomesei)
殻の向こうのナイショの話_p02
殻の向こうのナイショの話_p02 / 墨染清(@sumizomesei)
殻の向こうのナイショの話_p03
殻の向こうのナイショの話_p03 / 墨染清(@sumizomesei)



■恋する乙女のボケと、冷や汗をかく委員長

この会話の数分後、不良少女は廊下で密かにガッツポーズを決めていた。彼女の名前は蟹沢。実は海老原に好意を抱いており、ただ彼と話すきっかけが欲しかっただけなのだ。関西出身の彼女は、「我ながら言いがかりもええとこじゃ…はよツッコんでや、海老原クン」と、心の中ではドギマギしながら渾身のボケをかましていたのである。しかし、ここは埼玉。関西特有のノリは通用せず、クラスメイトたちはツッコミを入れるどころかドン引き状態。それでも蟹沢は「ついに海老原クンに話しかけたった!!」と、恋の第一歩を踏み出したことに浮かれていた。

一方、海老原の心中は穏やかではなかった。放課後、彼は一人頭を抱えていた。「なぜバレたんだ?」と。そう、蟹沢の適当な言いがかりは、奇跡的な確率で真実を射抜いていたのだ。海老原が「裏番」であることはトップシークレットだったはず。「よりによってクラス全員の前でブッコんできやがって…」と、彼は正体の発覚に焦りまくることとなる。

■ギャップ萌えを狙ったキャラクター造形

本作『殻の向こうのナイショの話』は、2020年3月期新世代サンデー賞(小学館)で努力賞を受賞した作品だ。作者は『強がりユキヒト君はデレたくないのに』(DLsite comipo連載)などを手掛ける漫画家の墨染清さん(@sumizomesei)である。墨染さんは制作の背景について、「キャッチーなキャラクター作りを心がけた」と語る。「温和な委員長に見えて実は裏ボス」という海老原と、「ヤンキーに見えて実は恋する乙女」な蟹沢。当時、漫画のキャラクターにギャップを持たせる練習をしており、二人の意外な一面を描きつつ、読者に「かわいい」と感じてもらえるよう意識したそうだ。

■大阪出身だけど「埼玉」を描く理由

墨染さんの作品には関西弁を話すキャラクターが頻繁に登場するが、これには作者自身が大阪生まれ大阪育ちであることが関係している。「本当はいろいろな方言を描きたいのですが、理解しているのが関西弁だけなので、つい全部関西弁キャラにしてしまうんです」と墨染さんは笑う。また、本作の舞台が埼玉県であるように、墨染作品の約9割は埼玉が舞台になっているという。驚くことに、墨染さんは一度も埼玉を訪れたことがないそうだ。「なぜか惹かれるものがあり、自分の描きたい世界観と埼玉のイメージがぴったり合う」と、その理由を明かしてくれた。今後、墨染さんの漫画を読む際は、背景や空気感から「未知なる埼玉への愛」を感じ取ってみるのも一興だろう。

取材協力:墨染清(@sumizomesei)

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