●二世デビュー時の「情報解禁」にもつながる
──将来、子どもが芸能界デビューする場合、これまで伏せてきた情報がプラスに働くこともありうるのでしょうか。
将来的に芸能活動を始める際に、「情報解禁」という形の売り出し方をするのであれば、幼少期はあえて情報を伏せておくことが、結果的にプラスに働く可能性はあると思います。
新しい情報はメディアに取り上げられやすく、注目を集めやすい傾向にあります。特に「有名俳優◯◯の子ども」として、映像とともに初めて登場する形は、一定の効果があるでしょう。
ただし重要なのは、その判断を誰がするのかという点です。子ども本人が芸能活動を望み、自らリスクを理解したうえで情報を公開するのと、親の判断で子どもにリスクを背負わせるのとでは、意味合いが大きく異なります。
●「自分のことを自分で決める」選択の余地を残す考え方
──前者のほうが「現代風」のようにも思えます。
法的にみると、プライバシー権の根本には「自己情報をコントロールする権利」という考え方があります。その結果として「秘密にしたいことは秘密にする権利」が認められています。
たとえば、性的マイノリティであることを自らのアイデンティティとして公表したい人もいれば、あえて公表しない選択をする人もいます。自分自身に関する情報をどう扱うかを決めるのは、本人であるというのが法の基本的な発想です。
1989年に国連で採択された子どもの権利条約でも、子どもは単に「守られる存在」ではなく「権利の主体」であることが重視されています。
子どもであっても、自分自身のことを自分で決めるという考え方は、個人の尊重という人権の本質と通じます。
芸能人が子どもの名前や生年月日、性別を公表しないのは、こうした価値観と同じく、子どもに将来の選択の余地を残そうとする姿勢の表れだと言えるのかもしれません。
【取材協力弁護士】
河西 邦剛(かさい・くにたか)弁護士
「レイ法律事務所」、芸能・エンターテイメント分野の統括パートナー。多数の芸能トラブル案件を扱うとともに著作権、商標権等の知的財産分野に詳しい。日本エンターテイナーライツ協会(ERA)共同代表理事。「清く楽しく美しい推し活〜推しから愛される術(東京法令出版)」著者。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:https://rei-law.com/

