高齢になった親の介護や健康が気になり始める人も多いのではないでしょうか。年末年始の帰省は、普段なかなか話せないことを含めて、親と向き合う絶好の機会です。
親がまだ元気なうちに、家族と一緒に身の回りの整理や話し合いを進めておくことで、突然の事態が起きてもあわてずに対応できます。
こうした「親子終活」を早めに始めることは大きなメリットがあると話すのは、相続問題などにくわしい伊藤勝彦弁護士です。
高齢の親に対して「これだけは確認しておくべき」という"基本のき"を聞きました。「あのとき話題にしておけば…」と後悔しないためにも、今から一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
●親子終活に「5つのメリット」
──「親子終活」に早めに取り組むメリットを教えてください。
親子で終活を早めに始めることには、多くのメリットがあります。
第一に、心の余裕を持って準備できる点です。時間的な余裕があれば、焦らず自分たちのペースで手続きや整理を進めることができ、冷静な判断が可能になります。
高齢の親にとって身の回りの整理は体力的な負担も大きく、時間もかかります。体を使う作業やデジタルデータの整理などを子どもが手伝うことで、親子で負担を分かち合うことができます。
第二に、家族の負担を軽減できることです。
介護や終末期治療、葬儀についての希望をあらかじめ共有しておけば、いざという時に家族が迷わず対応できます。財産の分配についても遺言書を準備しておくことで、相続人同士のトラブルを防ぐことにつながります。
意思を明確にしておくことは、残された家族が悩んだり、もめたりすることを防ぐための重要な手段です。
第三に、経済的な準備を計画的に進められる点です。
病気や認知症などで判断能力が低下すると、財産の管理や処分が難しくなります。施設入居費や医療費、葬儀費用など将来必要となる支出を早めに見積もり、相続税対策を含めて親子で検討しておけば、大切な資産を有効に活用でき、無駄な出費を抑えられます。
●過去を見つめ直し、望む形で人生を締めくくる
──他にもメリットはありますか。
まだまだあります。第四に挙げられるのが「人生の棚卸し」ができる点です。
親にとっては、これまでの人生を振り返り、大切にしてきた価値観や人間関係を見つめ直すことで、残りの人生をより充実させられるための気づきが得られます。
子どもにとっても、終活を通じて親への感謝や理解を深め、心の準備を整える機会となります。
第五に、親自身が自分らしい最期を迎える準備ができることです。
延命治療の希望や葬儀の形式、お墓のあり方などを事前に決めておけば、本人の望む形で人生を締めくくることができます。子どももその意向に沿って支えることができ、安心して見送ることができます。

