ウマ娘人気で注目、“名馬の名前”はどこまで使ってOK? 午年に改めて整理する法的ルール

ウマ娘人気で注目、“名馬の名前”はどこまで使ってOK? 午年に改めて整理する法的ルール

2026年は干支でいう「午(うま)年」。そこでこの機会に、馬にまつわる法律の話題に目を向けてみたいと思います。

近年は、実在した名馬をモデルにしたゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』の大ヒットもあり、競馬に馴染みのなかった層にも数々の名馬の名前やエピソードが知られるようになりました。

そうなると気になるのが、実在する馬名の「権利」の扱いです。「ディープインパクト」や「オグリキャップ」といった名馬の名前は、作品や商品などで自由に使用してよいのでしょうか。

実は、馬名そのものには著作権はなく、パブリシティ権も認められません。2004年の最高裁判決(いわゆる「ギャロップレーサー事件」)でも、競走馬の名称の差し止めを求めた訴えは退けられています。

一方で、「ディープインパクト」「オグリキャップ」などは、馬名そのものが商標登録され、一定の範囲で権利管理されている例もあります。

干支イヤーを迎えるいま、実在する馬の名前は"どこまで“自由"で、"どこから注意が必要"なのか。知的財産法にくわしい冨宅恵弁護士に聞きました。

●馬名に著作権やパブリシティ権も認められない理由

──馬の名前には著作権が発生せず、パブリシティ権も認められないという判例があります。その理由をわかりやすく教えてください。

競走馬は、法律上は少し意外かもしれませんが「物」として扱われます。つまり、馬主は競走馬という「物」を所有していることになります。

民法では、物にどのような権利を設定できるかを法律が定めるという「物権法定主義」が採用されています。そして所有権とは、誰からも干渉を受けることなく自由に所有物を使い、そこから利益を得て、処分できる権利を指します。

馬主は、この所有権に基づいて、競走馬を育て、訓練し、レースに出場させて賞金を得ることができます。しかし、所有権で認められる権利はあくまで法律で定められた範囲に限られます。

つまり、物権法定主義の考え方から、馬主には競走馬の「名称」を独占的に使用する権利までは認められていません。これが、馬名に著作権やパブリシティ権が及ばない理由です。

●「ディープインパクト」を商標登録してもいい?

──著作権やパブリシティ権がない一方で、商標登録されている馬名もあります。馬主以外の第三者でも登録できるものなのでしょうか。

馬主が馬名を排他的に支配しているわけではない以上、原則として、第三者が「ディープインパクト」など著名な馬名を商標登録すること自体は可能です。

ただし商標法では、他人の商品や役務(サービス)を表示するものとして広く知られている商標や、他人の商品や役務と混同する商標などは登録することができないとされています。このため、著名な馬名であれば、その周知性ゆえに登録が拒絶される場合もあります。

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